Tricksters
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「……寧さんっていうんだ?可愛い名前だねー。いくつ?」



 ニコリと笑う和洋に、寧はドキドキしながらも「に、25です……」と答えた。



「へぇー……じゃあ、丁度俺らの真ん中だ。ヤスは24で、俺は26なんですよ。」



 希楽は言いながら、何処か楽しそうに笑った。



「ま、まぁとりあえず、座ってお話聞きますね!今準備しますから、ちょっとだけ待って下さい。」



 寧はそう言って、鞄の中からICレコーダーとメモ帳とカメラを素早く取り出した。



「私、カメラの腕には自信がないんで……一応撮りますけど、後でもっと上手い方に来て頂くので、そのつもりでお願いします。」



 寧の言葉に二人が頷くと、彼女はICレコーダーのスイッチを入れた。



「……では、今日は春の一発目ということで。初対面も兼ねて、二人に簡単な自己紹介をして頂きたいんですけど。」



 二人は笑って頷く。その笑顔は、寧をとても安心させた。



「はい。リーダーの森月希楽です。二人だけだし要らないと思うんですけど、一応決めておかないと困るので。」



 希楽が和洋に視線を移すと、和洋も笑って口を開いた。



「で、俺が空木和洋です!まだ結成して三年目なんですけど、俺達自身はそれより前からの付き合いなんで、これから徐々に二人の仲の良さや個性を出していきたいなと思ってます!!」

「じゃあ、二人に質問です!春といえば出会いと別れの季節だけど、何か特別な思い出ってあるのかな?」



 寧の質問に、二人は少しの間考え込む。暫しの後、和洋がゆっくりと話し始めた。



「うーん……俺は、高校の入学式が印象に残ってるかな。入学式当日に前の席だった奴と凄く仲良くなって。そいつは今でも親友って呼べる仲ですね。」



 懐かしそうに言う和洋の話を聞き、寧は満足そうに頷きながらメモを取る。



「その友達とは、今でも頻繁に会うんですか?」

「そうですね……仕事がオフの日はよく会いますね。向こうも会社員で滅多に会えないから、会ったら何時間も話し込んじゃって。気付いたら日付が変わってた、なんてしょっちゅうですよ!」



 和洋は笑いながら嬉しそうに話す。寧はその瞬間を、カメラに収めた。



「ありがとう!希楽君は、何か心に残ってることはあります?」

「えーっと……俺は卒業式ですね、高校の。俺が通ってた学校って、三年間クラス替えがなくて。みんな本当に仲が良かったから、卒業式は全員号泣でした。勿論、担任と副担もね。」



 希楽も懐かしそうに語りながら、隣の和洋に何やらちょっかいを出していた。その瞬間も、寧はやはりシャッターを切った。


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あきゅろす。
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