Tricksters

 暫くすると、コンコンッとドアをノックする音がした。寧が「はーい!」と声をかけると、二人の男性が彼女の前に現れた。



「お待たせしてすいません!Trickstersです!!」



 自分とそう年の変わらない二人を見た寧だが、その目は彼らに釘付けになった。

 一人は、背は自分とあまり差がないが、綺麗な二重の男。灰色の瞳が金髪に映え、まるで聖人のようだった。もう一人は長身で、黒髪に赤くメッシュを入れた男。掠れた声が、彼の存在感を更に主張していた。



「あのー……記者さん?どうかしました?」



 目の前で片手を上下しているのは天使……ではなく、金髪の男だった。その隣では、赤メッシュの男がクスクス笑っている。



「あっ、すみません!!私、芸能人の方の専属記者なんて大きな仕事はこれが初めてなもので、インタビューも当然慣れてなくて……至らない点も多々あるかと思いますが、よろしくお願いします!!」



 寧は立ち上がると、机にぶつけそうな勢いで頭を下げた。



「いやいや、そんなに固くならないで下さいよ。俺達も専属取材なんて初めてだし緊張してますけど、“アットホームな雰囲気で”っていうのがコンセプトなんですよね?お互い気楽にいきましょうよ。」



 赤メッシュの男がニコリと笑う。寧の心臓は思わず高鳴った。



「は、はい……えっと、念のために確認しておきますけど、あなたが森月さんで、こちらが空木さんで間違いないですね?」



 寧が告げると、希楽と和洋は顔を見合わせてプッと吹き出した。



「え……何で笑うんですか?」

「いや、随分と礼儀正しい編集者さんだなぁと思って。今までの取材記者って、いきなり下の名前で呼んできたよなぁ?」



 希楽が口元を押さえながら言うと、和洋も笑いを堪えながら頷く。



「記者さん、ヤスと希楽で良いですよ!
……で、あなたのお名前は?」



 クスリと微笑して、和洋が寧に尋ねた。



「あ、私は星彩社の芸能雑誌『クロス』担当の、伊藤です。これから一年間、よろしくお願いします!」



 寧は言いながら、二人に名刺を差し出した。


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