Tricksters
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 どれだけの間、お互いこの気持ちを温めてきたのだろう。この先が待ちきれないというように熱い視線を絡ませながら、二人は何度も何度も唇を合わせる。



「……ねぇ。俺が座るから、寧ちゃん膝に乗ってよ。」



 欲情で染まった瞳がこちらを見ている。寧の心臓は大きく跳ね上がった。だが、否定するようなことはしない。思いが通じ合った今、早く和洋に触れて欲しいからだ。

 和洋の言葉に従って椅子から立ち上がると、腰を下ろした彼の上へ遠慮がちに座る。暫く見つめ合って緊張感を楽しんだ後、再び和洋からの口付けが始まった。

 体を抱き寄せられて密着した唇を割って、和洋の舌が入り込んでくる。視線とは裏腹に、彼の愛撫はとても丁寧だ。寧の反応を見ながら、舌を絡めたり吸ったりしてくる。唇が離れたら、思わず恍惚の溜め息が洩れた。



「……俺、久し振りだから緊張してるかも。」

「わ、私も……それに、本当に合意の上で、って今日が初めてだし……」

「うん、そうなんだよね……今まで無理矢理抱いて、ごめん。でも、これからは違うから。」



 愛おしそうな視線と手付きで、寧の茶色の巻き毛を撫でる和洋。その言葉には、はっきりとした意志が宿っているように思えた。寧が微笑して頷くと、再びキスが始まる。

 お互いがお互いの舌を絡め取る、深い深い濃厚な口付け。クチャリとした水音が、興奮を増長させる。背中にあった和洋の手がスルスルと胸元に動けば、スーツとシャツのボタンがゆっくりと外されていく。シャツと素肌の間に骨張った手が入ると、胸を覆うものがパチンと音を立てて外れた。暫くそこの頂を指で摘まんだり転がしたりしていた和洋だが、寧のシャツを肩まで脱がせて、細い首筋に舌を這わせる。



「あッ……ん、ヤス君っ……」

「……なーに?もう濡れたの?」



 意地の悪い口調で言った和洋は、寧の艶やかな栗毛をかき分けて、柔肌に吸い付いた。それから、肩にも痕を残していく。彼の唇が胸まで下りてきた時、その先を期待して、足の間がジワリと潤む。

 存在を主張する頂を舌先で突かれ、丁寧に舐められる。焦らすような舌の動きに、寧の胸がモヤモヤとし始めた。



「ヤス君……ね、もっと……」

「……もっと、何?言ってよ。」



 舌で優しく舐め上げられ、体が反応する。だが、この刺激では物足りない。和洋が楽しそうな笑みを浮かべているので、自分に言わせようとしていることも分かってしまった。悔しい。だが、快感を求める脳は、彼の手中に嵌まるよう指令を送ってきた。



「……もっと、いっぱい、舐め、て……」

「んー……やっぱエロいね、寧ちゃんは。俺以外の男にそういうこと言っちゃダメだよ?」



 クスリ、妖艶に笑った和洋が、チュウッと胸の頂を吸う。それが彼の合図だったのだろうか。間もなく、彼からの情熱的な愛撫が始まった。

 舌で激しく擦られ、時折弾かれる。彼の唾液が絡んでいるのが分かるから、足の間がジクリと甘く疼いた。もう一方の頂にしゃぶり付いた和洋。彼の手が、先を急くように下腹部へと伸びる。まくり上げたスカートの中。蜜が付いた下着を下ろして、彼の指が濡れそぼった入り口をなぞっていった。



「んっ……」

「何?やっぱ足りないとか?」



 首を僅かに縦へ動かした寧。和洋は妖笑すると、細く長い指を蜜壺へゆっくりと埋めていく。飲み込まれた指は、寧のイイ所を探して回る。目の前にある薄く開いた桃色の唇から吐息がこぼれる度、和洋は射精感を抑えるのに必死だった。気を抜けば、彼女より先にイってしまいそうだったのだ。


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