Tricksters

「偉そうなことを言ったけど、僕も色々経験してきたんだ。ヤスと希楽には同じ気持ちを味わって欲しくない。だから、手の行き届く範囲で全力で守らせてもらうよ。」



 工藤はそう言うと、仕事の打ち合わせに行くと告げて楽屋を出ようとした。ドアを開ける直前、振り向いて二人に尋ねる。



「……明日の取材の場所と時刻は?」

「第2談話室に午後3時!!」



 二人の答えを聞いた工藤は、満足そうに楽屋を後にする。彼の足音が完全に消えてから、希楽が口を開いた。



「なぁヤス……あの記事書いた女、ゴシップ記者と繋がってると思うか?」

「まだ何とも言えないね……まぁその時は、俺らの“権威”をフルに使えば良いんじゃない?」



 和洋の答えを聞いて、希楽は満足そうに頷いた。

 ――物語は、この時既に動き始めていたのである。そう、誰も知らない間に。


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あきゅろす。
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