COLORFAST DAYS
新学期の教室へ
意思の疎通がなされた俺達の耳に、何処からかキーンコーンカーンコーン……という音が入ってきた。

響が腕時計を見て、「ヤバッ!あと五分しかない!!急ぐぞ紫温!!」と叫ぶ。校舎まであと約50メートル。(お互いの教室まではざっと150メートルか)先生達は日頃から“五分前行動”をしろと煩い。よって俺達は、全速力で走り出した。










急いだ甲斐あって、担任からのお咎めは受けずに済んだ。ホッと息をつき、荷物を机の横にかけてから席に着くと、後ろからクスクスと笑い声がした。





「……おい、何笑ってんだよ。」

頭を小突いてやると、レオはいたずらっぽく笑って「ごめんごめん!」と言った。そんな仕草が“可愛い”と思ったけど、口には出せなかった。





瞬さんを思うレオの気持ちを知っているから、簡単に“好き”と仄めかすようなことが言えない。やっぱり俺は、ただの意気地なしなんだろうか。

響と“諦めない”と決めた筈なのに、今更になって弱い心が顔を出した。剣道部員にあるまじき感情だ……そう思うと益々憂鬱になってしまった。





「……紫温?大丈夫?」

ふと気付くと、レオが心配そうに俺を見つめていた。すぐに何でもないと返そうとしたが、思い直してわざと沈黙を作った。







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