COLORFAST DAYS
竹馬の友
こいつは本当に、俺のことをよく分かっているみたいだ。俺も同じくらい響を分かっていれば良いけれど、響のそれと釣り合っているとはとても思えない。

だけど、付き合いの長い相手と居る時の独特の安心感と居心地の良さだけは共有出来ていると思う。いつかお互いに彼女が出来た時も、きっとそれは変わらないんだろう。





「レオちゃん部活頑張ってたぜ〜?おいら何回か取材したんだけど、コンクールの平泳ぎで3位になってたよ!」

「へぇー……あいつ凄いな。ていうかお前、剣道部には一回も取材に来てないだろうが。」



コツンと頭を叩いてやると、響は「痛いっ!」と声を上げた。わざと大袈裟な素振りを見せた後は、やっぱりクスクス笑っていた。



「剣道部はさ、大会明後日じゃん?だから、それを取材するって部で決めたんだよ!実は剣道の取材が大好きな先輩が居てさぁ……多分その人、試合のレポだけで記事書き切っちゃうんだよね…」

そう言った響は、自分の出る幕はないという風に苦笑した。俺はかける言葉が見つからなくて、ただ黙って隣を歩いていた。すると、響の姿が急に見えなくなった。





「……おい、響?」

立ち止まって振り返ると、響はゆっくりと口を開いた。周りに人は居なくて、時間は俺達だけの為に流れている。










「……おいら、高校在学中の夢が二つあるんだよね。一つは紫温の引退試合のレポを書くことで……もう一つはバレー部の取材をすること!好きな子に力が入った取材にならないと良いけどね!!」



ニッコリと微笑んだ響。奴の言葉から、俺は瞬時に真意を読み取ってしまった。







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