COLORFAST DAYS
自己矛盾の間で
「──おい紫温!いつまでも落ち込むなって!!まだ失恋が確定したわけじゃないんだからさ…」
響が慰めるように言い、俺は微かに頷いた。
俺だって、望みを持ちたいよ。だけど……瞬さんは男の俺から見ても凄く格好の良い人で。レオが惚れたのも納得してしまったんだ。
「確かに瞬さんは、おいら達から見てもかっこいいけど……おいらは紫温に諦めて欲しくないよ!『勝負は諦めの悪い奴が勝つんだよ』って、お前が言ったんだぞ?」
……あぁ、こいつはまだそんな言葉を覚えてくれていたんだ。
忘れもしない、去年の──中3の時の引退試合。決勝戦まで勝ち進んだ俺の対戦相手は、数々の大会で名を馳せた強者(つわもの)だった。
なかなかお互いが隙を見せなかった為に試合の勝敗がつかず、遂には時間無制限で決着をつけることになったのだ。
その時、最後の休憩時間に俺が言った言葉がそれだった。俺は最後まで諦めなかった。勝利の瞬間を信じて、ただひたすら敵に向かった。
……その結果、俺は優勝を掴んだのだった。
「……あの時の紫温、お世辞抜きで凄くかっこ良かったぞ?状況こそ違うけどさ……今回も、諦めずに頑張って欲しいな…」
響の言葉は、とても嬉しかった。だけど……沈みきったこの心には、もう少し時間が必要だ。
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