COLORFAST DAYS
舌鼓
……口に入れた瞬間、卵のとろける感覚が舌の上を滑った。チキンライスの味付けも絶妙で、鶏肉が柔らかい。ホワイトソースのほのかな甘さとアサリの旨味が、口に広がった。

続いて、デミグラスソースの方にスプーンを伸ばす。煮込まれた角煮(多分、豚)が柔らかく、とても美味しい。ソースの濃い味と絡んで、食欲を増進させた。










「……美味しい、です。」

呟くように言った俺の言葉が、沈黙を破った。これが引金となり、途端に響が喋り出す。



「瞬さんすげーっ!!このソース凄く美味しいし、角煮の柔らかさも最高ですよ!!もっと大きい店に出すべきだと思います!!」

興奮気味に騒ぎ出す響。俺達の他に客が居ないのが救いだった。瞬さんは微笑んで、「有難う」と照れ臭そうに呟いた。





「私、二色オムライスは初めて食べたけど……これも凄く気に入っちゃいました!美味しい!!」

嬉しそうな声を上げた茉莉を見ると見たことのない笑みを浮かべていたので、素直に驚いてしまった。(こんな風に笑えるなら、最初から言ってくれよ…)



「茉莉ちゃんも有難う。紫温君も……みんなにそう言って貰えて嬉しいよ。僕は『美味しい』って言ってくれるお客様の笑顔が見たいから、この仕事がやめられないんだよね!」

そう言った瞬さんの笑顔は、本当に輝いていて。夢を追いかけている人はかっこいいと、改めて思わされたのだった。





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