COLORFAST DAYS
母と子の会話
「へぇー……そりゃ楽しそうで何よりだ。じゃあ俺、準備してくるから。」

父さんはクスクス笑いながら立ち上がると、食器を台所に持って行った。その後歯磨きなどの支度を終え、戻ってきた時には教師の風格が漂っていた。





「じゃあ、行ってくる。」

「うん。行ってらっしゃい!」



母さんが言うと、父さんは母さんの頬にそっと唇を落とした。





「……あれ?今日は口じゃないんだね。」

「たまには良いだろ。それとも口が良かったか?」

「……どっちでも良いから、早く行きなさい!!」



母さんに促されて、父さんは笑いながら、上機嫌で玄関を出て行った。





二人になった家には、少しだけ静けさが伴った。















「……はぁ。紫温も早く食べちゃってね。入学式お昼からだし、それまでに掃除しときたいし!」



「はーい。母さんは毎日大変だね?俺の他にでっかい子供がもう一人居るから。」

フッと笑って言うと、母さんは笑って、まぁねと言った。









「……でも、もう慣れたよ。」

そう言って笑う母さんは、何処か嬉しそうだった。










「それにしても、紫温は良いなぁ……あたしの代は英語科なかったのに。」

「あぁ、母さんの頃は普通科しかなかったんだっけ?残念だったねー。」



俺がクスクス笑って言うと、母さんはプクッと頬を膨らませていた。我が母親ながら、少しだけ可愛いなと思った。

父さんが惚れた理由が、何となくだけど分かった気がした。





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