COLORFAST DAYS
美技
「あー……そういや茉莉、隣で部活してたんだっけ…」



チラリと様子を伺うと、向こうは試合の真っ最中だった。キョロキョロと茉莉の姿を探すと、向かって右側のコートに試合に集中しきっている彼女が見えた。

ボールを見つめる姿はまるで、狩りの最中のハンターだった。(もしくは雌ライオンか。)





「茉莉!頼んだよ!!」

先輩らしき人からの声が飛ぶ。茉莉は「はいっ!」と頷き、トスの上がった場所へ走り出した。





「茉莉ー!一本決めろー!!」

「頑張ってー!!」



様々な声が飛び交う中、彼女は勢いよく踏み込んで、宙に飛び上がる。刹那、後ろに引いた右手を振り下ろした。
















……バシッ!!という音がして、コートに球が突き刺さった。途端にワーッ!と歓声が上がった。





「茉莉やるねー!!亜紀もナイストス!!」

「超かっこい〜!!惚れちゃう!!」

「こりゃあ来年度の部長は茉莉で決定だね。2年生が引退したら頼むわよ!」



今の部長らしき3年生が、茉莉に笑いかけた。他の部員達も、次々に彼女に称賛の言葉をかけていた。










「……すげー…」



来年の春高バレーに出られるんじゃないかな、と思った。茉莉なら、難なく選抜メンバーに選ばれるだろう。

たった数秒間のプレーを見ただけでそう思わせる実力が、彼女にはあった。







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