COLORFAST DAYS
礼節
「……一本!勇流の勝ちー!!」



やはりみんなが試合を見ていたのだ。とある先輩の声で辺りを見回すと、部員全員の視線が俺達に釘付けだった。

俺と先輩は向き合って礼をすると、本当の試合のように軽く握手を交わした。










「……先輩強すぎ。もっと手加減して下さいよ…」

「アホか!手加減したら意味ないだろ?俺は厳しいぞ〜?」



先輩は、ワハハ!と笑いながら俺の手を強く握った。





「いやぁ……お前なかなか曲者だったぞ?隙が全然ないし、攻撃しまくることしか対処法がなかったから、ちょっと汚い手使ったかもな。ごめんな?」



先輩はそう言って俺の肩を叩くと、「おっし!10分休憩なー!!」と叫んだ。その声で、部員達は四方八方に散っていった。















「あー……先輩が引退するまでに一本取りたい…」










俺の呟きは、隣で練習していた女子バレー部の掛け声によってかき消された。







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あきゅろす。
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