COLORFAST DAYS
一本!!!
何度もぶつかり合う竹刀は、二人の気迫を表すかの様に大きな音を立てていた。折れてしまわないのが不思議な程だ。

暫くすると先輩にも集中力の切れ目が見え、攻撃のテンポにムラが出来始めた。





……この時を待ってたんだよ。



俺は一瞬の隙をついて、面に向かって竹刀を向かわせた。










ガツッ!!と音がして、先輩の竹刀に弾かれる。俺は間髪入れずに胴に竹刀を伸ばす。しかし敢えなく失敗。先輩は俺の攻撃を読んでいたのだ。

攻撃に失敗すると、後退して間合いを探る。お互いこれの繰り返しだった。先程までは気付かなかったが、他の部員達は練習を終えたらしく、俺達二人の周りはシーンと静まり返っている。

きっと、俺達の試合を食い入るように見つめているのだろう。





「……試合中に考え事か?俺を相手に随分と余裕だなぁ?」

ふと気付くと、目の前には不敵に笑う勇流先輩。その表情が嫌でも目につく。





「……そんなんじゃないです。どうすれば先輩から一本取れるか探ってるだけ。」

手短に答えると、俺は目の前の彼をキッと睨み付けるように観察した。





……いや、次の瞬間にはもう行動が起こされていたのだけれど。















ガッ…!!





一際大きな音がした。先輩が俺の意表をついて小手を狙ってきたのだ。間一髪のところで阻止したが危なかった。冷や汗をかいたのも束の間、すぐに竹刀が向かってくる。



今度は面を狙ってきたと思ったら、直前で攻撃をやめてしまった。この人は何て人の意表をつくのが上手いんだろう。思わずそう思った程だ。





俺が息をついて油断してしまった、正にその時だった。










「よそ見すんなよ!とりゃー!!」















右手に衝撃。



……先輩の小手が決まってしまった。







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あきゅろす。
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