COLORFAST DAYS
もしくは台風
「……分かったよ。茉莉ちゃんはおいらが嫌いなんだろ?おいら馬鹿だけど、そのくらいは分かるよ…」

響は俺の陰に隠れながら、対角線上に茉莉の様子を窺い始めた。





「そうじゃないけど……あんたみたいな変なタイプには、普通の人の倍以上に物を言わないと気が済まないのよ。」

「それってつまり嫌いってことじゃないの!?」

「嫌いだったら初めから無視してるわよ。あんた、ウチの犬に似て落ち着きがないのよね…」



……茉莉の中で、響はペットと同じ扱いなのか。響は響で、落ち込むかと思えば何故か機嫌が直っているし。

多分、犬好きの響にとっては嬉しい言葉だったのだろう。





「なーんだ!てっきり嫌われてるのかと思って心配しちゃった!!」

響はそう言いながら、再び食べ物を口に運び始めた。



「……お前、頭良いのか単純なのか分かんねぇぞ?本当に入学試験2位だったのか?」

俺が冷やかな目で尋ねると響は、「そうらしいよー。だって、『もしものことがあったら入学式の挨拶代わって貰うから』って言われたもん」と言った。



「……えっ!響君ってそんなに凄い人だったの!?」

「あり得ない…」



レオと茉莉は、そう言って顔を見合わせた。





「いやいや、こいつ頭は良いんだって。頭が良いからこそ、馬鹿なことも出来るってやつだよ。」

俺が付け加えると二人は、へぇー……と言って頷いていた。





「え?おいらただの一般人だから!それより、早くご飯食べないと!おいら残りの昼休みと、放課後に新聞部のミーティングあるから!!
……じゃあね!!」

俺達が呆気にとられていると、昼食を食べ終えた響は、立ち上がって一目散に教室を飛び出して行った。















「……嵐みたいな奴よね、響って。」

茉莉の言葉に俺とレオは、深く深く頷いた。





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