COLORFAST DAYS
任務の行方
「あのさ……明日って、暇?」

「えっ?うん、特に予定はないよ。」



 その答えにホッとしつつも、まだ安心は出来ない。チケット二枚をレオの前に差し出して、再び口を開く。



「これ、予定が入ってるからって母さんにもらったんだけどさ。良かったら、一緒に行けないかなぁと思って。」

「わ!『クリムゾン』の前売り券だ!!私すっごく観たかったの!!一緒に行って良いの!?」

「うん。ていうか、レオが観たかったなんて意外だな。結構グロいシーンあるんだろ?これって。」

「んー……でも、凄く面白そうだから気になってね。」



 この映画はフランスを舞台にした冒険もので、ある有名な歴史上の人物を彷彿とさせる話だ。加えてレオは、その人物の生まれ変わりの女の子を主人公にした古い漫画が好きだという。世界史好きのレオには、とても惹かれる内容だったんだろう。

 俺は歴史ミステリーや世界遺産の番組は好きだけど、テストの点にはほとんど結び付いていない気がする。流石にどうにかしたいので、今度から響やレオに頼ることにしようと思った。



「じゃあ、決まりだな。待ち合わせは、明日の4時半に映画館の前で良い?」

「うん!映画が始まるのは5時からだよね?映画が終わったら、ご飯食べて帰ろっか!」

「だな。はい、失くすなよ?」



 嬉しそうにチケットの片方を受け取るレオを見て、思わずニヤけそうになる。「ありがとう!」と言われて素っ気なく返事を返しながら、心の中ではガッツポーズを取った。

 間もなく、レオの自宅前に到着。家まで送ってあげたことへのお礼を言う彼女に「また明日」と暫しの別れを告げて、俺は家への道のりを急いだ。


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あきゅろす。
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