COLORFAST DAYS
二人きりの帰り道
「……うわ、何アレ。変わり身早すぎだろ。」

「女の子はああいうもんだよ、紫温君。無意識に“よそ行き”の声を使う人も多いしね。」

「へぇー……」



 ある意味感心してしまった俺をクスリと笑い、瞬さんは「さ、あともうひと頑張りだ!」と気合いを入れさせるような声を出す。その言葉に頷いて、俺は仕事に戻った。

 ――予定通り、俺達は21時で退勤させてもらった。今日の売り上げは上々だろうと、とても嬉しそうにしていた瞬さん。そんな彼が帰り際に渡してくれたクリスマスプレゼントこと“給料”を鞄にしまい、俺達は街灯に照らされた薄暗い道を歩く。今年のバイトは、今日で終わりだ。



「紫温!瞬さん、バイト代1000円プラスしてくれてるよ!?」

「あ、ほんとだ。レオの読み当たったじゃん。」



 瞬さんに手渡された給料袋の中には、『二人共、今年度はお疲れ様でした。いつも頑張ってくれるお礼に、ささやかだけど1000円余分にお渡しします。来年もよろしくね! 瞬』という手書きのメモ。憎めない人だなぁと、内心笑った。

 忘れるところだったけど、俺には重要な任務が残っている。鞄に手を入れて、今朝母親からもらった二枚の紙を、そっと掴んだ。


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あきゅろす。
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