COLORFAST DAYS
密かな安堵
「……良いと思うよ?俺は。」
「ほ、ほんとに?」
「うん。良いよね、そういうの。俺は好きだけどな、そういう考え方。」
下駄箱で靴を履き替えながらそう伝えると、3月生まれの彼女は、ふんわりと柔らかく微笑う。こういう笑顔は嫌いじゃない。むしろ、愛しいと感じる。
「……ありがとう!今からバイト、頑張ろうね!!クリスマスにまで働いてるなんて、私達凄く社会に貢献するよ!!」
「そういう問題か?まぁ、いつもより多めに給料もらえたら良いな。」
「瞬さんは気前良いから、きっとボーナスだって言って奮発してくれるよ!忙しさに金額が見合ってなかったら交渉するし!!」
「……それ、“脅し”って言うんじゃない?」
笑って言うと、レオは「ちっがーう!ネゴシエーション!!」と反論してくる。うん、いつもの君だ。失恋の憂いからも先程の哀しい雰囲気からも抜け出してくれたんだと感じて、とても安心した。
これなら上手くいくかもしれない。鞄の中にある、母さんがくれたチケットを思い出して、小さく拳を握った。
――勝負は、戦の後だ。
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