COLORFAST DAYS
忘れた面影と、まだ見ぬ未来
「レオ、今からバイト行くだろ?」
「うん!瞬さんが『今日は“戦場”になるから覚悟しといてね』だって。クリスマスは何処も忙しいみたいだねー……特に飲食店は。」
物騒な言葉に二人で苦笑い。さぁ、これから戦に出るかとばかりに、並んで教室を後にした。冬休みの始まりを喜ぶ同級生達の声を、背中に受けながら。
「ねぇ。紫温のお母さん、具合どう?」
「あー……大分良いみたいだよ。相変わらずバリバリ働いてるし。予定日が2月23日だって言ってたから、あと二ヶ月くらいで産まれるかなぁって父さんと話してた。」
母さんが倒れてから、レオは時々様子を尋ねてくれる。今レオには母親が居ないけど、もしかしたら、昔そういうことがあったのかもしれない。レオはお母さんに会ってみたいと思っているのだろうか。ふと、そんな考えがよぎる。
「あのさ……もしお前のお母さんが、生きて何処かで暮らしてるとしたら、会ってみたい?」
「え……何?急に……」
唐突すぎたかな。そう思ったけど、口に出してしまったことは取り消せない。俺は静かに、レオの答えを待った。
「……あんまり覚えてないんだよね、実際。だから、会いたいとか会いたくないとか、よく分かんないんだ。
でも、いつか私が誰かと結婚して子供が生まれたら、子供にそういう思いはさせたくないなぁ……って、私何語ってんの!ごめんね、変な話して!!」
今のナシね、とでもいうように、手をヒラヒラさせたレオ。俺には馬鹿にする気は更々ないのに。その瞳は、まるで大失態をしてしまったかのように揺らいでいる。
あぁ……やっぱり俺は、君を諦められない。
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