COLORFAST DAYS
灯火(ともしび)
「でも、紫温は長続きするタチなんだねぇ。朱希は中学の時、五人くらいと付き合ったって言ってなかったっけ?」
「え、父さんそんな最低なことしてたんだ?女の子をとっかえひっかえじゃん。」
からかいの対象が自分に向き、途端に不機嫌になる黒髪の男。ジットリした視線を俺から母さんに移す。
「……お前は長続きしたから良いだろうが。」
ボソリ、それだけ呟いた父さん。あれ、他にはないんだと口にしようとしたけど、黙っておいてやることにした。母さんが、とても嬉しそうな顔をしていたから。
「端から見たらとっかえひっかえだけど、本人はずっと“性格が合わなかった”って主張を繰り返してるんだよねぇ……」
「じゃあ、そういうことにしといてあげたら?
……結論は、母さんとは合ったってことなんだろ?」
笑顔の原因が分かったから、そう聞いてみる。「みたいね」と答えるその表情はやっぱり笑顔だ。
「紫温、喋ってねぇでさっさと飯食え。冷めるぞ。」
低く優しい声を合図に俺と母さんがスプーンを掴めば、再び食事が始まる。冬って寒いばっかりじゃないな。こんなにも、温かいんだ。
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