PURPLE DAYS
82
「えーっと……多分、お前入れて六人くらいだったと思うんだけど……」



 初めて彼女って呼べる子ができたのは、確か小5の時。“好き”って言われて、俺も好きだって思ってたから、一緒に学校から帰ったり、よく遊んだりしたって感じだった。今思えば、あれは付き合ってたのかどうかもよく分からない。周りの奴よりはそういうのが早かったみたいだから、我ながら、マセたガキだったのかもしれない。

 中学の時は、告白されて付き合ったこともあるし、自分から思いを告げたこともある。フラれたこともあるし、フッたこともあったなぁ。あの頃は、今よりもっと、自分のことしか考えてなかった気がする。

 多分、結婚してから……いや、違うな。涼に出会った時から、俺の内面は変わり始めてた。



「早川君って、来る者拒まずって感じの割には硬派だったよねぇ。みんなの前でイチャイチャするなんて絶対なかったし。手を繋いでる所も、あんまり見たことなかった気がするなぁ。」



 クスリ、岡崎が笑う。「今では何か、別人だよねぇ。涼ちゃんから聞いてるよ?色々ね」と続けられた台詞に、何となく違和感。何だよ、“色々”って。

 涼は涼で、「ありえない……絶対手が早いと思ってたのに」と目を丸くしている。おい、ふざけんなよ。俺、これでもお前と一緒に童貞卒業したんだけど。お前も知ってるよな?つーか、後で覚えてろよ……



「……まぁ、そういう気って、無理矢理起こすもんじゃないんだから仕方ないじゃん。」

「つまり、涼ちゃん以外の人にはムラムラしなかった、と。」

「あー、そういうことになるかな。」

「ちょっと二人共!何言ってんのよ!!」



 顔を赤くして怒られても、“もっとからかいたい”としか思えないのに。こいつ、分かってんのかねぇ……ま、知らない方が面白いけどな。

 人前でベタベタするのは、正直ウザいって思ってた。でも涼と居たら、離したくないから手を繋ぐし、どんな反応をするのか見てみたいから、ダチの前で抱き締めてみたくなる。

 多分、アレだよ。好きな子が自分の行動でどういう風にリアクションすんのかが、楽しくて仕方ない小学生みたいな。俺、成長してるんだかしてないんだか分かんないなぁ……なんて。


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あきゅろす。
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