PURPLE DAYS
81
「へぇー……世の中って、意外と狭いんだね。」



 涼の言葉に頷く、俺と岡崎。まぁ、こんな東京23区くらいでそんなこと言うのも変かもしれないけど……人間ってやっぱ縁なのかもな。



「ほんとだね!ていうか早川君、昔と好み変わった?何か、派手めな先輩とか高飛車な子と付き合ってたイメージがあるんだけど……もしかして、案外押しに弱かったの?」

「いや、嫌だったらはっきり言うけど。多分たまたまじゃねぇかな。」

「そうだよね……早川君、みんなの前で思いっきり彼女フッてたことあったもんね。あれ、西中の伝説なんだよ。でも、見ててスカッとした!あの子、悪女で有名だったしね。
私、涼ちゃんが一番お似合いだと思うよ。二人が結婚してくれて良かった!」



 ニコニコと語る岡崎の言葉は、素直に嬉しかった。だから、「ありがとな。俺も、涼が一番落ち着くから」と答える。岡崎は「うわ、性格まで変わっちゃった感じ?何か丸くなったね!」とゲラゲラ笑った。

 ――そういえば、しばらく発言してない人が居る。岡崎もそれに気付いたんだろう。俺達の目は、同時に涼へ向かった。



「……涼ちゃん?」

「おい、どうかしたのかよ。」



 心配そうに涼の肩に触れる岡崎が、俺に助けの視線をよこしてくる。何となく“ごめん”という思いを感じて、「岡崎のせいじゃねぇよ。気にすんな」と返した。



「……涼、言いたいことあるんだったらちゃんと言えよ。」

「えっと……二人の話聞いてて、思ったんだ。そういえばあたし、朱希の過去の恋愛遍歴って全然知らないなぁって。ちょっとだけ、寂しくて。」



 別に“何から何まで把握しておきたい”って訳じゃない。でも、自分が知らない俺が居るのは、嫌なのだとか。確かに、一理あるなと思った。


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あきゅろす。
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