PURPLE DAYS
75
 ――会場は思ったより広くて、流石フィルハーモニーの会場だなと思った。これなら、大規模で素敵なコンサートになりそうだ。



「すごーい!!超広いね!!」



 MC席である壇上の台の近くで、明日美ちゃんは興奮している。きっと、“自分も演奏できたら”と思ってるんだろう。目を閉じて音を感じるような仕草を見て、そう思った。



「そうだね……綺麗だし、落ち着くよね。」



 あたしはそう言って、場内をぐるりと見渡した。何か、作りが中3の時のスピーチコンテストの会場に似てるかも。朱希があたしを知ったのも、こういう会場だったのかぁ……妙に懐かしい気分になった。



「岡崎さんに早川さん、ですね?今日はよろしくお願いします。」



 声がした方には、フィルハーモニーの団長さん。ニコニコしながら、あたし達の所へ歩いてくる。



「こちらこそ、今日はよろしくお願いします!」

「精一杯頑張りますね!ね、涼ちゃん!」



 微笑む明日美ちゃんに、笑顔を返す。“この仕事がどうか成功しますように”と、心の中で祈りながら。


[*←前][次→#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!