PURPLE DAYS
77
「――乾杯ー!!」



 カチャン、とグラスが触れ合う音が響いた。あたしはピンクグレープフルーツ、明日美ちゃんはカシスオレンジのカクテルを口に含む。“仕事終わりの一杯は格別だ”とお父さんが言っていたのが、今なら凄くよく分かる。



「今日の仕事、最高だったね!団長さん、『またお二人にお願いします』って言ってくれたし。」

「うん、ほんと良かった!自信も付いたし、帰ったら朱希に報告しなきゃ!」



 嬉しそうにカクテルを飲み進める明日美ちゃんの側で、あたしもついつい笑顔になる。朱希ならきっと、“頑張ったな”って言いながら頭を撫でてくれるんだろうな。

 昔から、何かをやり遂げた時には必ず朱希に伝えるようにしている。確か、高1の時からだよね……出会って、もう八年になるんだ。何だか、あっという間だったな。



「……そういえば、迎えに来てくれるんじゃないの?旦那さん。」

「うん、さっきメール来てた。ねぇ、過保護な気がするのってあたしだけかな?」

「過保護ねぇ……そんなことないんじゃない?可愛い奥さんが危ない目に遭ったら困るし、心配なんだよきっと。
変に束縛されてる訳でもないんだし……第一、涼ちゃん嬉しいんじゃない?心配してもらって。」



 “口の端が上がってる”というご指摘。あれ、そんなに顔に出てたかな……うん、まぁ、嬉しいのは嬉しいんだけどね。

 朱希は心配性だけど、一人での外出には文句を言わないし、“いつ何処で誰と”を深く追及してくることもない。基本的に、“遅くなるようだったら連絡よこせよ”と言うくらいだ。こういう個人の時間を大事にしてくれる所も、好きなんだよね。


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あきゅろす。
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