PURPLE DAYS
73
「……よし、帰るか。」



 涼が頷くと、亜麻色の髪がさらりと揺れる。潮風の匂いに混じって、涼のシャンプーの香りが鼻腔に残る。ここに来るまでは、俺も何となく活力が減ってたけど、もう復活したようだ。これも、涼が笑ってるからだと思う。

 ──辺りを包む夜の色が濃くなった頃、3枚目のCDが終わった。“適当に変えといて”って声をかけたのに、無反応な涼。そういえば、さっきから口数が少なかったような。ほんの一瞬チラリと目をやると、案の定、規則正しい寝息を立てていた。



「……気持ち良さそうに寝てんじゃん。もう心配ねぇな。」



 思わず浮かぶ笑み。友達に見られたら“気持ち悪い”って言われそうだけど、しょうがないと思う。だって、こいつの寝顔見たら、誰だってそうなるよ。まぁ、そんな奴が居たら気に食わないってのが本音だけど。

 ──信号待ちの、少し慌しさが去った交差点。寝ている涼の唇に、そっと長めのキスをした。



→続く

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あきゅろす。
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