PURPLE DAYS
67
 あんまり気持ち良さそうに寝てるから、起こそうかどうか、正直迷う。と、その時。すぐ側で、小さく唸る声がした。

 ジャストタイミング、だけど、正直驚いた。起こそうとしてる時に目を覚まされるなんて。でも、涼本人は、至って普通に目を覚ました。



「……朱希、おはよう……」

「……おう、おはよ。丁度起こそうかと思ってた。」

「ほんと……?とりあえず、ご飯にしよっか。」



 目をこすりながら、柔らかく笑う涼。頷いて、一緒にベッドから起き出す。クローゼットを開けた時、忘れない内に口にしておいた。



「……あ。今日、どっか出かけようぜ。」

「うん、良いけど……急にどうしたの?」

「たまには良いじゃん、フラッと出かけんのも。」



 言いながら、涼が選んでくれた色違いのギンガムチェックのパジャマ(俺が黒で、涼が赤)を着替える。その後、軽く朝食を取った。

 トーストにサラダ、コーヒーという、喫茶店の軽食のような感じ。サラダには、キャベツ・レタス・トマトの他にも鳥のささみやエッグフィリング(ゆで卵の潰したやつ)が乗ってて、“ちゃんと栄養考えてくれてるんだな”と嬉しくなった。

 ――初夏の気候にピッタリの、淡い水色のパフスリーブと白い膝上スカートを身に付けた涼を連れて、愛車に乗り込む。涼の首には、俺が大学時代に誕生日プレゼントとして贈った、『不思議の国のアリス』をモチーフにした長いネックレス(白ウサギの時計・トランプのハートのA・ティーカップなどの銀のチャームが付いている)が提げられている。



「朱希、何処行くか決めた?」

「決めてあるけど、教えない。着くまで楽しみにしとけ。」

「えー?」



 首を傾げる涼に「CD好きなのかけて良いから」と告げて、車を発進させる。これ以上質問しても無駄だと思ったのか、「はいはい……」と言った彼女が選んだのはB'zのアルバム、『GREEN』だった。お、良い選択じゃん。


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あきゅろす。
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