PURPLE DAYS
60
side涼



「──遅いなぁ、朱希。渋滞って訳じゃなさそうだし、残業かな……もしかして、途中で事故に遭ったんじゃ……」



 いつも迎えに来る時間から、結構経っている。連絡もないのにあれこれ考えて一人で不安になるのは間違っているのかもしれないけど、性格上仕方がない。いつも朱希に“電車で帰れるから、迎えなんて良いのに”って言ってるけど、今日ほど彼の愛車が現れるのが待ち遠しいと思う日は、今までなかった。

 運転中だったら、メールとか電話したら邪魔になるし……ここでジッとしている以外に選択肢がないというのも、きっと不安材料の一つだ。



「……星、綺麗だなぁ。明日も晴れそう。」



 呟いた言葉が、あたし以外に誰も居ない空間にこだまする。いっこうに現れない待ち人に溜め息をつきそうになった、その時。見慣れた一台の車がスーッとやってきて、あたしの目の前で停車した。


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