PURPLE DAYS
56
「……どうして、分かったの?」
不思議そうに呟いた橋本先生。まだ俺への恐怖心が消えないのか、怯えた目をしている。あー、ちょっと悪いことしたかな……ってまだ許してないけど。
目を丸くしている彼女に、俺は静かに、なるべく優しい口調で言った。“あんた、今なら変われるよ”という意味を込めて。
「いや、ただの勘だけど。昔男と何かあったとか、そんな感じじゃねぇの?」
「そう……勘が冴えるのね、早川先生は。」
橋本先生はそう言うと、少しずつ語り始めた。きっと人に話すのは、俺が初めてなんだろう。さっきまで自信満々に発言していた人とは思えない程、とても大人しい態度だった。
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