PURPLE DAYS
55
「……悪いと思ってんなら謝れよ。つーか、あんたでもビビることなんてあるんだ?てっきり文句言ってくるかと思ったのに。」
締め上げる腕の力は、緩めてやらない。奴は言葉を発することができないのか言葉に詰まったのか、とにかく黙っている。
「まぁ、それはどうでも良いけどさ。俺のこと誘っても無意味だから。俺、涼以外には興味ないし。」
拘束している手を離せば、蛇女は二、三歩後ずさりする。脱力したような表情を見ると、どうやら懲りたらしい。内心、安堵の息をついた。
「そういうことだから、もう邪魔しないで下さいね。あと、これは俺の独り言だけど。」
橋本先生の目を、まっすぐ見つめる。きっと、まともに顔を見る気になったのはこれが初めてだろう。
理由を聞かれたら、多分……この人に“変わって欲しい”と思ったから、かもしれないな。
「……もし男好きのフリしてんなら、やめれば?」
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