PURPLE DAYS
52
「ところでさ、涼ちゃんの旦那様ってどんな人？私、一度も会ったことないんだよね。ひろちゃんはチラッと見たことあるって言ってたんけど……」
人の出入りが大分落ち着いてきた食堂内で、食後のコーヒーをスプーンでかき回しながら、明日美ちゃんが言う。そういえば、そうだっけ。“どんな人”って言われても、ねぇ……
「うーん……一言で言うと“変態”？」
そう言うと明日美ちゃんは、「失礼だよ！」と言いながらもしっかり笑っている。確かに失礼だけど、本当のことだから仕方ないんだよね。
「えーっと……じゃあ、“基本的に意地悪だけど、たまに優しい”かな。他にも、“意外と努力家”な所とかあるんだけどね。これはあたしの評価だから、実際に会ってみるのが一番良いと思うよ。」
「そっかぁ。じゃあ、今度会わせてね？涼ちゃんが普段どんな感じなのか聞いてみたいし！」
明日美ちゃんの言葉に、微笑み返す。あたしはミルクティーのカップをお皿に戻して、窓の外に目をやった。
――朱希、今頃何してるのかな。授業中かな。そう思いながら、飛行機雲が残る真っ青な空を、しばらく眺めていた。
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