PURPLE DAYS
君なりの優しさ
…でも、今のあたしに出来ることは、仕事を精一杯やって、皆にお茶を煎れてくることくらい。
それしか、ない。
…後ろでカタン、と物音がした。倒れたシュガースティックの瓶を起こすと、再び皆の元へ向かった。
「──…ただいまぁ…」
疲れた声で玄関を開けると、今日は珍しく朱希の帰りの方が早かった様だ。中から「お帰りー…」と声がした。
「…お前、どうしたの。元気ねぇぞ?」
リビングに着くや否や、仁王立ちしていた朱希があたしの頭にポンと手を置いた。
「……ん、ちょっとね…。一人退社したから、色々大変なんだ!」
苦笑を向けると、朱希まで悲しそうな顔になった。
…そんな顔して欲しい訳じゃないのに。
「…ま、無理すんなよ?って事で、今日はお前の代わりに晩飯作っといたから。でも、味はあんま期待すんなよ?」
朱希はそう言ってあたしの頭をポンポンと二回叩くと、食卓に着いた。
見ると、テーブルの上にはお皿が並んでいた。
「朱希……有難う!!」
…どういたしまして、と笑う朱希を見て、思わず涙が出そうになった。
[*←前][次→#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!