PURPLE DAYS
溜め息の切なさ
「……涼、ちょっとこっち来いよ。」
「…えっ?ちょっ……」
返事をする前に朱希に手首を引っ張られて、少し離れた場所に連れて行かれた。
「……ヤな所見せてごめん。俺、大人気なかったよな…」
朱希はそう言って、左手で自分の目を覆った。
「…そんなことないよ!誰にだってカッとなることはあるし。
朱希も露骨過ぎたけど、高木君もああいう態度取るなんてびっくりしたよ…」
…あの人は、どういうつもりなんだろう?
そう思っていると、朱希が大きな溜め息の後で口を開いた。
「…今ので確信した。涼、絶対あいつと二人きりになるなよ?あいつお前の事狙ってるから。
今日はもう仕事ないんだろ?送って帰るから、俺の仕事が一段落つくまで談話室で待ってろよ。」
朱希はそう言って、あたしの額に軽く口付けた。
「んっ……分かったけど…」
けど……不安だよ…
唇を噛み締めて俯いている朱希を見て、胸が締め付けられる様だった。
ねぇ……朱希は何を思ってるの?
[*←前][次→#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!