PURPLE DAYS
目に見えぬ争い
「早川さんさ……俺の事忘れてたでしょ?」
「や……そんなことないよ?」
『図星』だなんて言えない……ていうか、心なしか朱希が高木君の事を睨んでいる様な…
「…君、早川さんの旦那さん?」
ハッと気付くと、高木君が朱希に声をかけていた。
「そうだけど……あんたが高木君?“ウチの妻”がお世話になってますー。」
朱希は、怖いくらい爽やかな笑顔を高木君に向けて言った。
「いえいえ、お世話になってるのはこっちの方で!先日も仕事の打ち合わせで凄く助けて貰ったんで。“二人で”頑張ったよねー、早川さん?」
にこり、と音がするくらいの不自然な笑みを向けられて、あたしは戸惑ってしまった。
……ていうか、空気が淀んでるのは気のせい…?
「あ…あはは……“皆に助けて貰った”からね!」
あたしは上手く話を繋げて、二人を煽らない様に努めた。
…これが漫画だったら、二人の間に火花が飛んでるんだろうか。
本当に気のせいであって欲しい。
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