PURPLE DAYS
秋→冬
──…スクリーンが、秋を連想させる木の葉の散る映像に変わった。バイオリンの綺麗な音も響き始める。
間もなく舞台袖から、茶色Pコートに身を包んだ織春がゆっくりと歩いてきた。
彼女は歩きながら、散歩中の人の様に歌を口ずさみ始めた。
「♪君との思い出
踏みしめながら
私は今日も
歩いています
一人で歩く並木道
もうすぐ空が
泣くのでしょう──」
BGMが、クリスマスを連想させるシャンシャン…というベルの音に変わった。
織春は舞台袖から投げられたタータンチェックのマフラーとピンクの耳当てを付け、歌い出した。
「♪今ここに君と僕が
立っているのは奇跡かな?
そんな瞬間(とき)を
重ねながら
運命と呼べる
その日を夢見る──」
彼女は時折、空から降る雪を見上げる様な仕草や彼に手を振る仕草を見せた。
スクリーンデビューしているだけあって違和感を全く感じない。……凄く感心した。
[*←前][次→#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!