PURPLE DAYS
対面
「よっ!朱希も元気そうだな。」
真っ先に声をかけてきたのは翔梦。相変わらずのっぽで、短めの黒髪を時折触る癖も変わっていない。無地の黒Tシャツにゴツめのシルバークロスのネックレス・色落ちしたジーンズという至ってラフな格好だが、背の高いこいつが着るとファッションモデルのようだ。
そんな翔梦の後ろから、白いパフスリーブのワンピースにピンクや金色の玉が付いた二連ネックレスを合わせた、小柄な女の子がひょこっと顔を出した。
「えっと……朱希君は初めましてだね!私、翔梦の彼女の豊島亜美(とよしま あみ)です。」
よろしくね、と言いながら彼女は笑った。翔梦と同じ色で、肩の所で切り揃えられた髪。優しそうな目元が人懐っこくて、翔梦と似た雰囲気を醸し出している。
「あぁ、よろしく。へぇー、翔梦にもやっと春が来たかぁ。大事にしろよ?」
俺が笑って言うと翔梦は、「余計なお世話だ!」と言って苦笑する。うん、まぁ言ってみただけだよ。涼の時のでお前の甘やかしぶりはよく分かってるからな。
「ちょっと早川君!私達も居るんだから忘れないでよ!!」
聞き慣れた声のした方に目を向けると、そこには岩崎と宏樹が立っている。今でも飼い主と犬のような関係なのだろうか。
岩崎は白字で何語か分からない言葉の書かれた薄いピンクのノースリーブを着て、アジアンテイストな茶色地に蔦が描かれたスカートを履いている。足首より少し上の長さのそれは、彼女が動く度にヒラヒラと揺れていた。ウェーブがかったダークブラウンの髪に、とてもよく合っている。
「朱希、ちゃんと先生やってんだなー!尊敬した!!」
宏樹はワハハと笑いながら、俺の肩をバシバシ叩いてくる。こいつはまた髪の色変えたようで、金髪に近い茶髪になっていた。レゲエのイラストが描かれた原色の赤のTシャツに濃い青のジーンズが眩しいけど、宏樹のキャラに合っているから文句は言うまい。
「痛ぇよ……お前、その無駄に高いテンションどうにかしろよな。絶対岩崎困ってるぞ?」
叩かれた部分を擦りながら言うと、宏樹は全く反省の色が窺えない口調で「ごめんごめ〜ん!」と笑う。少しだけ苛ついた俺を見て、宏樹以外のみんなが懸命に笑いを堪えている。いっそ笑っちゃえよ、テメェら…
俺の心の呟きに気付いてか、涼が「まぁまぁ、朱希落ち着こうよ」となだめてくる。まぁ、涼に免じて許してやるか。そう思った時、「あっ」という声がした。そちらを見れば、岩崎がニッコリ笑っている。
「あのね、涼ちゃんと早川君には報告が遅れちゃったんだけど……私、その内岩崎じゃなくなるからね!」
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