PURPLE DAYS
背後から君の気配
──背中に朱希の視線を感じる。朱希の両腕があたしの首に回ると、緊張があたしの意識をピーン……と張りつめた糸に変えた。
「……そんな緊張すんなって。照れるだろうが…」
朱希はクスクス笑いながら、ゆっくりとネックレスを付けてくれている。その時間があまりにも長い。そう感じるだけなのかも知れないけれど……お陰でなかなか緊張が解けない。
「涼……こっち向いて?」
「……ん?」
低く玲瓏な声に振り向けば、朱希があたしをジーッと見つめている。あたしはあんたが大好きな数学の応用問題じゃないわよ。こいつはどうしてこんなに人を凝視してくるんだろう。癖、なのだろうか。
そんなに見つめられると気まずいんですけど、とさえ言うことも出来ない程に鼓動が最高潮に達しているあたしは、目を逸らすことも許されず、朱希を見つめ返していた。
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