PURPLE DAYS
プレゼント
side涼















「朱希……これって…」



包みの中からは、数日前にショーウィンドーで見かけたネックレスが現れた。鎖にはピンキーリングがぶら下がっていて、リングの中央にはハート型のピンクの石が光っている。

それを目にした瞬間に、立ち上る湯けむりのような愛しさが、ゆっくりと心を満たしていった。





「……覚えててくれたんだ…」



あたしが呟くと朱希は、当たり前だろ、と笑った。さも当然だという思いが現れたその顔は、あたしだけしか知らない表情なのだろうか。

朱希と居ると、“特別”って良いな、と思わされる。こんな気持ちを教えてくれて、本当に有難う。口に出せなくて、ごめんなさい。





「……貸して?付けてやるから。」



朱希はフッと笑い、あたしからネックレスを受け取った。近付いた時に、ふわりと鼻をくすぐる甘くて切ない香り。

あぁ、これが朱希の香りだ。目を瞑れば、夢の中へ落ちていくような感覚に陥った。





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