PURPLE DAYS
残業か帰宅か
勤務中は、ずっと涼のことを考えてた。どんな顔するかな、とか喜んでくれるかな、とか。

全部の授業が終わってデスクに戻ると、俺は小さく溜め息をついた。





「ふー……今日の為に書類とか早めにまとめといて良かった…」

職員室には俺以外誰も居なくて、呟いた俺は大きく伸びをした。そして、鞄の中から覗く綺麗な包みをそっと撫でた。





「……早川先生、もう仕事終わりですか?」

突然、左隣から声がした。見ると、川田先生が微笑んでいる。



「あー……はい。川田先生は残業ですか?」

俺が尋ねると、彼はこくりと頷いた。



「今日で結構進めたいと思ってるんだよね。そういえば早川先生、最近遅くまで残って頑張ってたけど……今日何かあるの?」





勘の鋭い彼は、相変わらずニコニコしながら言った。俺の鞄から覗く包みを見ながら。ここでは“分かってるなら聞くな”というのが普通の流れだろう。

……残念ながら、俺は普通じゃない。涼に関することなら、逆に“聞いてくれ”と願いたいね。





[*←前][次→#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!