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ヒズ、ジェラシー



「せーんぱいっ!昼休みどこ行ってたの?僕探したんだからね」
「えー?恭弥のとこ行ってた」
「え!誰?」
「風紀委員長っスよ後輩くん」
「なんか悪い事でもしたの?」
「ん?なんで?」
首を傾げる南波にマネージャーは「だって風紀委員長って暴力ばっかする人じゃん」と言った瞬間、南波はグッと眉間にシワを寄せてマネージャーを見た

「恭弥はそんなんじゃねーよ」
「え………」
「あっちょ、オイっ南波!」
無視グラウンドに入る南波を追いかける山中は焦っていた。普段何をしても怒らない、温厚な性格をしているのに一言でキレたのは初めてかもしれない

「どうした?」
「ムカつく…恭弥の事知らないのにそんな風に言われんのすげー気にくわない」
「………………お前委員長一色だな」
「うっ…うっせぇ!!!!!」
「顔真っ赤っいって!!!!!」
ゴツンと鉄拳を食らわれた山中は悶えるも南波は顔を赤らめて応接室の場所を見た


「南波〜、樹〜っ始めんぞー」
「「ウィー」」
走る南波の背中をジッと見ていたのは恭弥では無かった




「あっ委員長じゃね?」
バッと振り向いた南波は嬉しそうな顔をして近づいて行った。雲雀恭弥に逆らう者はこの学校にもいない

「やっぱりユニフォーム姿はなんかおかしいね」
「え?嘘!俺ずっとユニフォームなんだけど!」
「君と出会った時を思い出すっていう意味だよ」
「えー?あん時制服じゃなかった?」
「なんでもいいから着替えて来なよ」
「もーすぐ終わっから待ってて」
南波の背中を見て、南波に近づく少し背の低い女っぽい男を発見した。ベタベタと南波に近づく男に恭弥は少し眉間にシワを寄せた


「(ふーん、あれね)」



「なぁ恭弥、今日はどうする?家来る?」
「今日はいいよ、眠い」
「んーそっか」
「寂しい?」
「えっ!ちょ…なに言ってんだよ…」
「そう」
顔に出ている南波にあえて気付かないふりして話をそらす恭弥に南波はあたふたしていた。そして分かれ道に入った時、南波は恭弥の腕を掴んだ


「!……なに?」
「今日は一緒にいたい」
「!!!!!!!!」
「……………ダメ?」
「(この…天然誑しめ)」
「あっ…いや、その…」
かぁああと顔を赤らめる南波に恭弥は近寄った

「なに?僕とシたくなったの?」
「……そうだって言ったらどうする?」
「え?」
真剣な顔をする南波に恭弥は一瞬、思考が止まった


「今日は恭弥と一緒に寝たい」
「…………いいよ、」
肯定をした瞬間、南波の匂いが更に近くなった。南波はチラリと南波を見て耳まで真っ赤にする自分の最愛に妙に落ち着いて目をつむった




「今日はえらく大胆だね」
「ん、」
着替える南波に抱きつき「どうかした?」と問えば南波はゆらゆらと瞳が揺らぎ、それを見計らって唇を塞いだのは恭弥だった。それで理性がぷつりと切れたのかベッドに押し倒し首筋を吸い上げ手は胸元を弄っていた。恭弥は早急な南波に驚きはしたが快感が先に来て思考を鈍らせる。その後、前のようにフェラをして恭弥がイった所で手は完全に止まった

「南波?」
「ゴメン」
「なにが?」
南波の口癖が出てしまうくらい主語も目的語も指示語もない言葉に恭弥は南波を見た


「こんな風にするつもりなくて…」
「?」
「みっともねー、」
「みっともないかは僕が決めるから続きを言いなよ」
やはり何年の付き合いとやらは凄まじい。恭弥は完全に南波の扱いを心得ている。南波は恭弥の目をチラリと見て体制を変えて口を開いた

「恭弥…俺の事嫌いになった?」
「は?」
「金パの外人と一緒に歩いてるの何回か見たから」
「それがどうかしたの?」
「俺…恭弥と会えてないのに…その、恭弥は大丈夫なのかな?って思ったらここら辺がもやもやして………でも恭弥と会ったら消えて居なかったらまたもやもやして、俺すげー重い病気にかかったのかな…どうしよう…」

「……………………重症だよ」
「えっうそ!!!?マジで!!?」
「もう死んじゃうんじゃない?」
「ま…じで?」
慌てるより放心してしまっている南波に笑いをこらえながら恭弥は口角を上げて南波を真剣な目をして見た






「僕が居なかったら」




一瞬、思考が止まった。
南波は恭弥を見て固まり、次に目を見開き、理解した後に口元を抑えて思いっきり視線を逸らした

「僕も同じ気持ちだよ、君の周りにいる女子に嫉妬してる、あのマネージャーにも…だけど君は僕にベタ惚れだからね」
「わ…わ、悪いかよ!」
「誰も悪いなんて言ってないでしょ?それに僕だって同じだよ、南波と同じ気持ち」

「???」
「だから…」
恭弥は少し焦れったそうに頭を描きながら南波にグッと近づき耳元でボソボソと囁けば、恭弥はベッドに逆戻りし口を塞がれていた、短くだが


「恭弥、好き」
「知ってる」
「でも今日は最後までシない…てゆーか出来ない!」
「なんで?」
「その、えっと…」
明後日の方向を見る南波に恭弥は「やり方が分からない訳ないよね?」と言えば泳ぎまくった瞳は恭弥と見つめ合う事3秒。その1秒後には立てに振られた頭に恭弥は溜め息をついた


「教えてあげる」
「いっいい!!!!俺が恭弥をリードしたい。つーかする!!俺が恭弥をリードするから…!」
「…………なに?僕と本当にシたいの?」
直球過ぎる恭弥の球に南波は一度見送りした後、次は空振り。そして最後、直球ストレートをホームランで返した。つまりは南波は首を縦に振ったのだ。それにはいくらの恭弥でも驚いたのか言葉が出ない。何しろ南波はそっちの事は滅法鈍く淡白だからだ。まさか肯定するなどと誰が思うだろうか



「恭弥?」
「本当に勘弁して欲しい」
「?何が?」
「あーもう、いいよ」
首を傾げながら恭弥の横に寝転がる南波に視線を向け恭弥は「あのマネージャーは注意してね」と言った。それに南波は頭にクエスチョンマークを浮かべながら頷いた

「(絶対わかってない)」
「(佐藤先輩なんかあんのか?)」





ヒズ、ジェラシー
(つーかまたあの人来てっし、南波どんだけ好きなんだよ…ムカつく)







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