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ヒズ、マザー



朝起きれば、目の前に恭弥。
腰を思いっきり抱きかかえられて正直動きたくても動けない。時間を見れば寝過ごした、いや朝練の時間だけどさ

「きょーや、なぁ恭弥ってば」
「…………うるさい」
このスリーピングビューティーめ
なんつぅ寝起きの悪さだ。いやそこも可愛いんですけどね、って今何時?……あ、朝練。まぁ、今日夜走りゃぁいいか
南波はあくびをして恭弥の口にそっとキスをした。

「可愛いなぁ、もう」
ゆっくりベッドから降り体重と体脂肪を図った。部屋から出ると既に起きている北斗と目が合った


「早いな…起きるの」
「朝練行かねーの?」
「うん、夜走るし…眠い」
ノロノロと風呂場に行く南波は北斗を見て止まった

「朝練?」
「そ、俺がいないからっていちゃつくなよ」
「つーか付き合ってんだけど」
「どこがいい訳?お前タイプあんなんだったっけ?もっと可愛らしいのが好きじゃなかった?」

「可愛いよ?恭弥はめっちゃ可愛い、北斗目大丈夫?恭弥が可愛い訳ないじゃん!」
「お前真剣に言ってっけど意味が分かんねーから」
「いや…分かってもらっても困るっつーか…俺だけしか分かって欲しくないっつーか…」
ごにょごにょ言い出す南波に北斗は頭を傾げ靴を履いた

「北斗、ぜってー好きになんなよ!?」
「バカじゃねーの、誰が好きなるかっ!つーか俺が好きなのは…好きなのはな…」
ん?と首を傾げる南波を見て北斗は続きの言葉を飲み込んで無言で玄関を出て行った

「本当…思春期はわかんねーなぁ」
南波はボリボリ頭を描いて風呂場へと足を進めた。



「……………南波がいない」
ゆっくりベッドから出れば床に敷かれた布団を一様整え、部屋を出た、響くシャワー音に恭弥は足を進めた

ガチャ、っと開けタオルを探しているとはいっと渡され南波はそれを貰い頭を拭き始めた
「サンキュー、…………って恭弥!」
じとーっと全身を舐めるように見る恭弥に南波は構わず髪の毛を拭いたり体を拭く

「君さぁ…ちょっとは照れたりしない訳?」
「え?なにが?」
滴る水にも関わらず顔を見られ恭弥は少し胸が高鳴った。やっぱり綺麗な体に惚けてしまう、細い肢体と均等についた筋肉は恭弥好みだ

「(だ、抱きつきたい)」
パンツを履く南波に恭弥は目を離せない、それに気づかないのが藤代南波という男だ

「朝なに食いたい?」
「……和食」
「あ〜あったかなぁ」
横を通ろうとする南波に恭弥は我慢できずに抱きついた。それに南波はパニック状態だ


「あ…の、恭弥…?」
「キスしないの?」
「今ヤバいっ顔見んなっ!恥ずかし」
顔を見られないようにぎゅうっと抱きしめられ肩に顔を置く南波に恭弥はドキドキしていた。そしてちょんと口をくっつけられ普段なら物足りないが、心が一杯になった

「ど…したの?恭弥」
「なんとなくだよ」
「(か、可愛いっ!!!)」
「飯食お?早く用意して恭弥制服着なきゃなんねーし」
「うん」
「顔洗って来い、風呂にも入っていいし」
南波は柔らかく笑って台所に立った

「(なんか…大人になった?)」
「(ヤバい…恭弥、マジで可愛い)」


その後、和食料理を食べてから家を出た、時刻は7時半だ。普段なら恭弥はもう学校にいる

「恭弥ン家…でか」
「入りなよ」
「は、はいっ。お…じゃましまーす」
「あら恭弥、帰るのが遅いならそう言いなさい」
「うるさいよ」
「びっ美人…!お姉さんですか?」
「あらやだ、そんなに若く見える?」
うふふと笑う女性に南波は呆然とし恭弥はそのまま南波を引きづった


「あれは母さんだよ」
「えっ若っ!綺麗すぎだろ」
ええーっと動揺を隠しきれない南波に恭弥はムカついて南波をにらむが南波は気づかない

「恭弥ってお母さんに似てるな」
「は?」
「え?」
にこやかに笑う南波につい疑問の声を出してしまったがそれ以上に間抜けな声を出されてハッとした

「僕以外見るな」
「見てねーけど?恭弥のお母さんは俺からしたら恋人の家族だし大事じゃん」
「……うん、」
「気に入られたらいーんだけどな」
「大丈夫だよ南波なら」
「だと…いいんだけどなぁ…」
何を不安がっているんだろう、と首を傾げる恭弥は制服に手を通した


「恭弥、ご飯は?」
「食べて来た、じゃぁ行って来るよ」
「おっおじゃましました」
「南波くん、また来てね」
「えっあ、はい」
ぺこりと頭を下げ玄関を出る南波に恭弥は母親をジッと見た、それに母親はうふふと笑っていた



ヒズ、マザー
(恭弥が惚れるだけは有るわね、いい感じの子だわ)
(だから言ってるじゃない)







あきゅろす。
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