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ヒズ、スプリング



「やっべー!!これ超楽しい!もっかい乗ろーぜ恭弥」
「何回目だと思ってるの?」

「わかんねぇけど!もっかい、な?もっかいっ!」
ギュッと手を握りまた並ぶ南波に恭弥は横目で見た、南波は周りの目など気にせず手を離そうとせず繋いだままな彼に胸がポカポカして来た


「恭弥?」
「…………なに」
「ジェットコースター乗ってからなに乗る?」
「君はなに乗りたいの?」
「えーっとなぁ、回るブランコとかお化け屋敷とか!」

「楽しそうだね」
「恭弥と一緒だからな!」
ニカッと笑えば恭弥は顔を伏せた
「(かっかわいい)」

その後、ジェットコースターで絶叫しブランコで風を感じ、いよいよお化け屋敷だった


ヒシッ
「引っ付かないでくれる」
「………あ、ゴメン」
と言いつつ南波は離れようとしなかった

「…………怖いの?」
「ちっちげーよ!」
「ならしがみつかないで」
そう言われて南波は恭弥と5センチほど距離を空けるもまた1センチ1センチと狭くなっている

「……怖いんでしょ」
「怖くねぇって!」
「歩けないから、退いて」
「わ、わりぃ」
「なんでお化け屋敷に入ろうと思ったの」
「いや…暗かったら…イチャつけるかも…ってな」

チラリと見ると恭弥はあり得ないくらい目を丸くして南波を凝視した、南波は誘われるように顔を近づけゆっくり口をくっつけた

「、バカじゃないの」
「だって堂々とキス出来ねーじゃん」
「だからってわざわざ怖いのに入るなんてね」
「いや、まぁ…って!怖くねぇっ冷たっ!」
南波は濡れた首もとを抑え上を向けば絶句した

「うわぁぁああああああああああ!!!!!!!」
南波は絶叫後、恭弥の腕を掴み50メートル5秒9を見事に披露していた



「っはぁ〜マジ疲れた、息切れやばっ」
「走るなら走るって言ってくれる」
不機嫌極まりない恭弥に涙目の南波は笑い出して溢れる涙を拭いた

「ちょー怖ぇ〜マジ泣けてきた」
「(ギョッ)」
「プハハハハ、ひー怖ぇ〜」
笑い出す南波に恭弥はビックリしたが少し口元が緩んだ

「あのさ、」
「なに?」
「最後に観覧車乗らねー?」
「?うん」
南波は周りの目線など気にもしていない、そもそも美男子がなにをしても周りは惚けるだけだ。何より恭弥は中性的な面立ちなので女性に見られる事も少なくは無い、勿論。声を出さなければの話だが



「うっはーたっけぇ」
「バカは高い所が好きって言うしね」
「俺はバカじゃねぇし!」
「君をバカ以外にどう思えばいいの」
「うるさいわっ!」
怒気を含めない口調に恭弥は窓の外を見た、少しキラキラした目を見た南波はにんまり笑った


「高い所好きなんだろ?」
「別に、嫌いではない」
「へぇ〜」
にまにま笑えば恭弥は南波を睨んだ、南波はチラリと横を見てそわそわし始めた、それに恭弥は口を開くも南波が真剣な顔をしたので一瞬、戸惑い固まった

「えっと…キスするから」
「!」
彼からキスされた事があっただろうか、数えるくらいしかない。恭弥は目をつむり初めて緊張を示した、きっと彼の方が緊張でおかしくなりそうなのだろうけど、と皮肉を残した

ゆっくり離れる唇に南波はうっとりとした目を向けていた、それに恭弥は噛みつくように唇を喰った

「ふぁっンぅ」
逃げる舌を追いかけ回し絡める、今観覧車の中を見たのなら、きっと女性が男性に迫っているように見えるのだろう


「きょ、や?」
「好き…だよ南波」

「俺も、好き」
恥ずかしそうに顔を手で隠す南波に恭弥は口端を緩めたが次に言葉を紡ぐ彼のせいで再びだらしない顔になるなんて予想さえしなかった



「今日、泊まりに来ない?」





ヒズ、スプリング
(本気?)
(??うん、?)
(意味解ってるよね)
(解ってる…よ?)






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