[携帯モード] [URL送信]
音を立てて近づいてくる


─────────バタンッ
「恭弥ゴメン!俺勘違いしてたっ!」
息を整える南波にティータイム中だった恭弥は少し目を見開きコーヒーを置いた


「いきなり何?うるさいんだけど」
「あ、えーとゴメン」
「謝ってばかりだね、早く座りなよ」
顔色を伺いつつも南波は向かいのソファーに腰を下ろした。落ち着いた南波を見計らって恭弥は口を開いた

「で何?」
「だ、だから俺が勘違いして恭弥に怒ったから…それ謝ろうと思って…」
「……………そう?何事かと思えばそんな事?君が意味を取り違えてるなんて反応を見ただけでわかるよ、それに草壁相手に嫉妬されても困る」

「しゃっしゃぁねーだろ…なんか嫌だったんだから」
目を泳がす南波に恭弥は溜め息をついた。意外に嫉妬深いのは喜んでいいものかはなしてよくないのか


「怒ってねぇの?」
「それに関してはね、君また告白されたらしいじゃない。どうなってるの」
「あぁ…わかんない、モテ気?」

「山中が言ってたけど中学でもモテてんでしょ、彼女とかいたんじゃないの?」
チラリと見る恭弥に南波は頭を傾げながら口を開いた


「いないけど?てか好きじゃねーのに付き合えねーし野球ばっかしてるし」
「ふーん、じゃぁ僕が初めてなんだ」
「?恭弥が初めてだよ」
普通に答えた南波に怒った恭弥は少し顔を赤らめた

「恭弥こそ付き合った事あんの?」
「僕が群れるとでも思ってるの」
「いや、まぁ思ってねぇけど…ちょっと意外」
「なんで?」

「恭弥モテるからさぁ、付き合ってる子いたら嫌だなぁってな」
「………君って案外嫉妬深いよね」
「そっそんな事ねぇよ!」

「まぁいいけど」
「つーか今週日曜日空いてる?」
「なんで?」
「遊園地行こ!?俺らデートらしいデートした事ねぇじゃん!」
「(きゅんっ)…別にいいよ」
「よっしゃ!決まりなぁ、てか恭弥人ごみとか大丈夫か?群れるの嫌いなんだろ?」
「君が行きたいんでしょ」
「ん?まぁ決定だな、今日電話するから」
「嬉しそうだね」
「嬉しいからな!」
にひっと笑う南波に恭弥もつられて目尻が緩むのがわかった、


「なぁ恭弥」
「なに?」
「お前さぁ…その、したいの?」
「したいね」
即答する恭弥に南波は顔を白くさせた

「なに?する気になったの?」
「なってません」
うーっと泣きそうになる南波に恭弥はなんで?と問うた

目を泳がす南波の頭の中は必死に渦巻いていた。俺は淡白な方なのでそういう欲求が襲った事はないし…興味半分でしたのだって指で数えれる程度だ。しかも野球ばかりして彼女がいない中1を過ごし中2では恭弥がいたので全く本番をした事が無い
つまり、あれだ…ど〇〇いなのだ
女の子を相手にした事が無いのにどうしたら男を満足させられる気が起こるのだろうか、いや問題はそこであってそこじゃない。
俺は恭弥相手にたつのだろうか…


「?南波」
「っはい!」
「チャイム鳴るから行きなよ」
「あ、うん。今日一緒に帰るだろ?」
「応接室にいるから」
「ん、わかった」
そう言って南波は応接室を出て行った。そして恭弥はポツリと「………する気はないんだ」と呟いた


***

「おかえり〜南波」
「山中問題が発生した」
「は?」
「あのさ…あらぬ事を聞くけどさ」
「?なによ」
「男同士ってどうやって…すんの?」
「ブ──────────ッ!」
「きったね!なにやってんだボケ」
「いやいや何言ってんだお前…てか委員長ととうとう…」
「ちげーよ一様だよ!」
「どう一様なんだよ?」
「うっせぇカス黙れ」
顔真っ赤にして怒鳴る南波に焦る山中の後ろから冷気が吹きかかりゆっくり後ろを振り向くが遅かった


「そんなに先生の授業は退屈かね?藤代に山中、」
「「い、いえ」」

「廊下に立っとれぇえ!!!!!!」
「「すいませんしたーっ!」」




音を立てて近づいてくる
(なんで俺も立たされてんだよ)
(黙れ道連れだ道連れ)
(南波の癖に)
(は!黙れ)







あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!