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吊り橋効果じゃないの?



ズラーッと並ぶポスターに頭が痛くなった。誰だこんな事をしたのは、つーかそのせいで有り得ないくらいの押しピンが下駄箱から流れ出たんですけど…憧は他人ごとのように思った
ポスターとは昨日のキスシーンと憧が殴った所が写っていた。皆様が怒っているのは多分殴っている方だろう

「うわ〜やるじゃん憧くん」
「……どーも」
「てかてか上條とどんな関係?」
「なにが?別になんもねぇけど」
「へぇ〜そう?染谷憧くん、同姓同名の確率なんて知れてる、しかも漢字からして君のは確率が非常に低い、よって君は本物だ。ほら、ね?」
眼鏡を外され憧は言葉を失った


「な…なんで、」
「俺頭いーから、しかもあれだけ一緒にいたら解るよ憧くん」
面白そうに笑う弐鷹に憧は血の気が引いた。自分の努力が全て水の泡になるからだ。


「言う…のか?」
「うーん、言っても面白いけど…」
ゴクリと喉が鳴った

「言ったら言ったで上條が飛んできて取られるから嫌だなぁ、せっかく目付けてたし」
「……………どういう事…だ?」
「黙っててあげるよ、てゆーか上條のお気に入りだし上條を殴れる人材だし興味あるしー」
にまーっと笑う弐鷹に憧は嫌な予感がした



「眼鏡正解だね、外したら見たことある奴だったらわかるかも〜まぁ俺だけかもだけど」
「なんで…」
「憧くんはさぁ〜自分の事知らないんだよね、地味地味でいた方がいいかもね」
「なんだそれ?」

「まぁ…わかんない方がいいって言う事、特に上條には気づかれない方がいいよ」
「当たり前だろ、なんの為にこんな変装してると思ってんだ、」

「まぁ憧くんがイジメられても助けないけどね」
「知ってる」
憧はそう言って頭を掻いた、チラリと見えた銀の髪に弐鷹は目を細めた




何故、こうなったんだ。
図書館に本を返そうと裏庭を歩けばいきなり十数人に囲まれていた。15・6人だ。

「あのさ…なんか用っすか?」
「お前が染谷憧だよな」
「見て分からねぇなら呼び止めんなよ」
最近ストレスが溜まっている為、ちょってした事でキレてしまいそうになっていた


「わりぃが、帰さねぇ。こごで犯されてもらうぜ」
むさい連中がうぉおっと言っているが憧は酷く冷めた目で周りを見ていた

「うぉらぁああ!」
ブンッと拳をふられたが憧は見事によけた

「!!!?」
「何回同じ目に合ってると思ってんだカスがっ!」
手の早い憧は相手の鳩尾を殴っていた、どんどんボコボコにしていく憧だが5人一斉にかかって来られては一溜まりもない

「うっ」
「逃がさねーって言ってんだろーが」
「つーか上條様を殴るなんて有り得ねーんだけど」
「そうそうキスされてるのも有り得ねーから」
「泣き叫んでも止めてやんねえからな」

「やめっろ…!」
ブチブチッと飛ぶシャツに憧は長年の経験をフラッシュバックさせていた、身動きをとろうとするも腕やら足やら全て押さえつけられていてとれない。抵抗しようとすれば凄い勢いでシャツが開かれた

「!!!!!」
「うわっ白っ!」
「やべぇマジで犯そうぜ!」
「!やめろっボケ!!!」
「黙ってろ!」
バシッと殴られた瞬間、眼鏡が吹き飛んだ

「っ!!!」
「うわっ…超可愛いじゃん、興奮してきた」
「マジやめろっ!」
「やめる訳ねーじゃん」
ニヤリと笑う5人に憧は冷や汗を流した


「(やべぇ犯される…!)」
「じゃぁ、ま…嫌がってくれよ」
憧はギュッと目を瞑った瞬間、上から悲鳴に近い耐えるような声がした。ゆっくり目を開けば、

碧登がいた

「なっ!」
「染谷大丈夫か!?」
グイッと抱きかかえられ憧はビックリするものの立っていた、シャツは全開で真っ白い肌がチラチラと見える

あっと言う間に全員を完膚なきまでにボコボコにしていた碧登に憧は喧嘩強かったんだ、と妙に感心していた



「大丈夫か?ヤられてない?」
「あぁ大丈夫、大丈夫。ボタン飛んだくらいだし」

「眼鏡…」
「あぁ、ありがと、つーか助けてくれてありがとな」
ふにゃっと笑えば碧登は憧を抱きしめていた

「え!ちょ…どうしたんだ?」
「よかった…無事で、大谷が教えてくれなきゃ…今頃、」

「アイツが?…ゴメン心配かけて悪かったな、マジありがと」
そう言って上を向いた瞬間、口を塞がれていた




「…………………!?え!!?」
「!!!!あ、ゴメンっつい!」
謝る碧登に憧は思考が停止しそうになるも、うん大丈夫と言って笑った

「本当にゴメンな?」
「あぁ大丈夫だよ、そんな嫌じゃなかったし」
「え?」
「あ…違っ、」
「あのさ、俺!」
「?」

「憧の事好きかも…」
「え…?」
真剣な顔をする碧登に憧は身動きがとれなくなった



吊り橋効果じゃないの?







あきゅろす。
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