prologue 思い返せばいい思い出なんてなかった 幼稚園では先生から猥褻行為をされかけ小学校に入れば誘拐されかけ、中学校に入ったら入ったで強姦されかけ、女にもされかけたが回数は男の方が断然多い、それに嘆いた母が有名な私立校へと入学させた だが、なにを思ったか男子校だ 危機を感じざるを得なかった俺は目立つ銀髪を黒髪のウイッグで隠し紫の瞳は黒のカラコンで隠し、その上眼鏡を着用した。もう汚らしいオタクにか見えない、てか完璧だろっと鏡を見て家を出た 「えぇーっと」 1-E 染谷憧(そめたに けい) 「あった、わっ!」 ドッと後ろから押され前にもたれかかれば、案の定前の男子は嫌そうな顔をした。まぁそうだろうよ、こんなオタクにそりそわれたく無いだろうよ。と内心思いつつ体育館へ行った はっきり言って俺は目立つのはもう嫌だ、スポーツも勉強も平均を見てからそれに合わせる。オタクで平均だったら目立たないだろう 「あんた隣?」 「え?あ、はい」 「超インキャ…オタクじゃん」 「あーよく言われます」 「名前は?」 「染谷憧」 「俺は大谷弐鷹(おおたににたか)」 「よろしく」 「お前外部生だろ」 「あぁ、うん」 「気ィつけろよ、ここはいろいろとルールあるから外部生は特に」 「?わかった」 「まぁこんなナリしてたらなんもねぇわな」 「あっても困る」 憧は面倒くさそうに弐鷹を見てまた前を向いた、友達になるなんて事は甚だ考えていない。弐鷹もそれ以上口を出さなかった 前を見れば主席の人物が呼ばれていた。灰色の髪がサラサラなびきはっきり言って目立つ、 「派手な奴だな」 「アイツも外部生だな見たことねぇもん」 「ふーん、てかなんか男子叫んでて煩い」 「ホモ多いからな」 「へぇ」 「お前ホモ?」 「ノンケ」 「あっそう」 「あんたは?」 「弐鷹でいいよ、俺はバイ」 「ふーん」 憧は興味なさそうに返事してその主席に目を向けるでもなくボーっと横を見ていた 「(変わった奴だな)」 弐鷹は憧を見て思った 「おい」 「………なに?」 「今から生徒会だから見とけよ」 「?うん」 憧は弐鷹を見て舞台を見た それほどしつこく言われて見れば派手な集団が現れた、それに憧は目を見開いた 真っ黒の髪に赤の瞳、つり上がった目や整った容姿は周りを凌駕するオーラを放っていた。彼を見ればしばらくは目が離せないのだが憧は勢いよく俯いた 「?」 「(な、なんでコイツが…っ)」 「面倒くせぇ、なにが面白い事なんだよ槇、殺すぞ」 「えぇー俺のせいにするの?圭ちゃん」 「帰る」 「あっちょっ!まぁいいっか」 「言い訳ねぇーだろ!槇、どうにかしろ」 「京平うるさぁい、もう俺も帰ろっかな」 そのまま3人は消えた、まさに嵐は去った状態だった 「あれがこの学校のルールだから」 「…………生徒会って…」 「上條圭一(かみじょう けいいち)、あと及川槇(おいかわ まき)と室来京平(むろき きょうへい)…知り合い?」 「違う」 「………へぇ」 目を泳がす憧に弐鷹は面白そうに口端を上げた 「(なんか面白いなコイツ)」 「(面倒事は勘弁しろよ…絶対に知られたくない)」 憧は拳を握った、 「(あんな奴大っ嫌いだ)」 「やっだ…!ヤメロっ!」 「んだよ、ヤる事やってんのによ」 「ヤッてな…嫌っや!」 「うっわ白っ!」 「何やってんだよ凡人」 「ぁあ゛!?…うっわ、上條…!」 「こんな大人数でまわしてんのか?ふーんお前ら高校生のクセに溜まってのかよ」 不適に笑い周りの高校生をボコリ自分を助けた 「あ、ありが…と」 「へぇ、お前染谷か」 「?なんで…知って…」 「俺様が助けてやったんだ、解ってんだろーな」 「え?」 「こんなガキに盛れねぇ、だからお前今から俺の奴隷な」 「は?え…!?嫌だ」 「ぁあ゛?文句あんのか」 「……………………」 「上條圭一だ、楽しませろよ染谷」 それから1年ずっと横にいた、と言うよりいさされた。上條といれば襲われる事は無かったがそれ以上にセクハラに悩まされた、反抗すれば睨まれ酷い事をされる、見事な縦社会だった 中学校は離れた、そもそも上條は頭が良かったから塾でも有望だった、後々聞いたが有名な私立校に入ったらしい、俺は親の都合で隣町に引っ越ししたから会うことなんて無かった。が中学の始めはまだ引っ越していなかったため、見つかり酷い事に上條の家まで担がれヤられた 「いちくん!止めっ!」 「俺が違う所行くから安心してんだろ?」 「!」 「絶対逃がさねーからな」 「やっだ!お願いっ止め!」 「そんなんで言う事聞くわけねーだろバカが」 「うっあ…ンぅ」 「逃がさないから」 これの後、俺は隣町に転勤する事になり携帯も変えたため全く会うことは無かった なのに何で…今! 憧は拳をグッと握り俯いた "逃がさない"と言う言葉が絡みつく 「憧くん?どうかした?」 覗き込んでくる弐鷹の表情は心配している風には見えない、むしろ面白がっている感じだった 「関係ない」 「まぁそうだけどさ」 じとーっと見る弐鷹に視線を合わさず前を向いた そもそもこんなナリだ、バレる筈がない。アイツの印象は大概あの目立った銀髪だった筈だし、なにより気まぐれで抱いたのだから2度も有るはずがない 「憧くん?気分悪いの?」 「………なんで?」 「めっちゃ汗かいてる」 「……………」 ハンカチを渡す弐鷹に嫌な奴ではないと思ったのもつかの間、弐鷹は「洗って返してね」と言った 「案外ケチだな」 「うわっ憧くんってそんなキャラ?」 「悪い?」 「いやむしろ面白い」 「お前さぁ、嫌な奴だな」 「憧くんって案外鋭いね」 「別に」 弐鷹はまた口端を上げ笑った 「安心してよ、別に友達になろうなんて思ってないから」 「…別に、大谷みたいなのに友達になって欲しくない」 「酷い言いぐさ」 「人を面白がっている奴に言われたくないね」 分厚い眼鏡から見据える瞳に弐鷹はゾクッとした、それは好奇でだが。一瞬にして興味を注がれた 「憧くんって面白いよね」 「………何が?」 前途多難、始まる(とにかく最初から最悪) |