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悲しみが息をするまえに



「うわっ!」
「……駿河、?違う」
「な、なんですかアナタ」
「それ真似してるつもり?」
「お前誰だよ」
「雲雀恭弥、駿河とは友達みたいなものかな」

無表情に言う雲雀に駿河は少したじろいだ。無表情は怖い、見透かされているようで


「なんで…わかった、」
「僕は小さい時から居るからね、それに君…全然似てない」

「は、完璧だっての、仕草や言動、雰囲気まで全部暗記してる」
「そう、でも駿河は君みたいに辛そうに笑わないけど」
「…………………」
「しょせん君は駿河にはなれない」

「俺だって…好きでやってるんじゃねぇんだよ!、その名前で俺を呼ぶな俺は…俺はアイツじゃない、筧移駿河だ」
グッと眉間にシワを寄せ泣きそうな顔で握られた腕を振り払った


「筧移駿河…ってどういう事?」
「同姓同名、姿形まで一緒なんだよ!だから俺は…沢田綱吉に居てくれって頼まれて…六道には恋人だと勘違いされてて…」

なに俺は初対面の奴に愚痴ってんだと思うも止まる事は無かった、俺の拙い話に雲雀恭弥は無言で聞き、腕を話すことは無かった


「俺はお前らが知ってる駿河じゃねぇ、も…嫌だ」
「…………止めればいいじゃない」
「でも"駿河"がいねぇと六道が自殺するんだろ、俺のせいで死ぬみてぇなものだろーが」

「………………………」
「悪い、俺…」
「別に構わないよ、たまに愚痴にくればいい、僕は意外と君を嫌いじゃない」

「な、んだそれ」
駿河は呆然としていると雲雀恭弥は口角を上げ笑った。それに何故か安心して作っていた顔が崩れた


「駿河!!!」
「っ!」
「そこで何をしているんですか!」
「え…恭弥さんと話してただけだよ?」
「ただ話してただけで文句言わないでくれる」
ギロっと目を細めて言う雲雀に駿河は焦るも骸は雲雀から駿河を引き剥がし自分のもとに置いた


「嫉妬は見苦しいね」
「駿河は僕の恋人です、なぜあなたに嫉妬する必要があるんですか」

「駿河、僕は前の喋り方の方が好きだよ」
「……………」
去っていく雲雀に駿河はビックリして声が出ない。そして駿河から骸の表情は全く読めない

─────────バタンッ
「な、骸どうしたの?」
「約束、覚えていますか?」
「え?」
約束ってなんだ?
テープになにも無かった、なんだ?約束ってなんだ?


「雲雀恭弥を名前で呼ぶな、僕がいない時は喋るな、触らせるな、って言いましたよね?」
にっこり笑う骸に駿河はなんとも言えない恐怖を感じた。なんだこの威圧感は


「あ…ごめん、なさい」
「許しませんよ」
いきなり口を塞がれ舌を入れられ深く深く攻められ、シャツをはだけさせ下へ下へ唇が降りてくる。
──大丈夫だ、我慢すれば…大丈夫

ゆっくり目を開け骸を見れば骸はギラつく目にドクンっと胸が唸った


こいつは誰を見ている?
───俺ではない、"駿河"だ。
じゃぁ俺は何の為にこんな事をしている?

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い



────気持ち悪い。


「嫌だ!!!!!!!俺はアイツじゃない!!!触んな!!!俺はアイツじゃないっ!!!」
「駿河、なにを…」

「嫌だ…嫌だ、離せ…離せって…!!!!」
「駿河っ駿河、駿河」

「俺は駿河じゃねぇ、駿河は俺じゃねぇっ!!!!」
ドンっと骸の胸を押し返して骸を見た。歪められた顔に何故かこっちまで悲しくなって戸惑った



「………………駿河」
「お前は誰を見てんだよ、俺はお前が愛してる"駿河"とは違うっ!」


「俺…はアイツじゃないんだよ!!!!!」
言った瞬間、自分の何かが壊れたような気がした。最後に映った骸が心底悲しそうに顔を歪めるから脳裏にこびりついて離れなかった



悲しみが息をするまえに
(なんでお前がそんな顔するんだよ…お前は"俺"なんてどうでもいいんだろ?)







あきゅろす。
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