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跳馬×男主



チュッちぱっ、異様な水音をたてて吸ったり舐めたりする、これは寂しいからしてしまうらしい。本当に分かり易い。へなちょこめ

「お前さァなんかあった訳?」
「え?」
へなちょこ君は涎でベタベタになった口元をテラテラ光らせていたこっちを見た

「お前さァ会うなり絶対、俺を横に置いてしきりに指舐めんもんな、なに?本当になに?」
「えっ…あ、わるい」
慌てて退こうとするへなちょこに俺はへなちょこの頭をガシガシと撫でた

「まァた泣かされたのか?本当になったへなちょこだなァ、ディーノは」
「うっバカにするなよ…翠」
「少しはボスらしくなったらどうだ?部下の俺が言うのも可笑しいけど」
翠は少し笑いながらディーノを見た。翠はディーノの先輩で有りロマーリオよりも近い存在だ、だが近すぎてディーノに部下だと判断されていないらしい。だから翠の前ではへなちょこのままなのだ

「お前さァ20歳だろ?」
「ん、そうだけど?」
「人の指ばっか舐めてどうすんの?」
「………………………」
テラテラ光る口元を服の袖で拭けばディーノは少し寂しそうな顔をした


「翠はへなちょこ…の俺嫌だよな…」
「つーか、お前なにかあった?昔のディーノは自分の指吸ってたじゃん」
「それ5歳の時だろ…止めろよ恥ずかしい」
「今だってたまーに俺の指吸ってるじゃん、今もそうだし…んで決まってお前がそうする時は…なんかあった時だろ?」
図星だった為、言葉を探すのに時間がかかった、翠はディーノが言う前「なんかあったのか?」と優しく頭を撫でた。翠はディーノのお兄さん的存在だ


「振られたのか?」
「ちげぇよ、別に…」
「何が不安なんだ?ディーノ、俺にも言えない事か?」
「…………婚約を申し込まれた」
「おっモテ気じゃねェか」
「ん、」
「ボスにもなったら女も付くわな、それが嫌なのか?」
「オヤジの知り合いなんだ…だから、その…いい人だとは思うけど」
ボソボソと言うディーノに翠は困ったように笑った

「他に…好きな奴がいたりしてな」
「んなっ!……翠はいんのか?」
「いるよ、ずっと思ってる」
切なそうな顔をする翠にディーノは目を見開いてジッと翠を見た


「そ、そうな…のか、」
「まぁ報われないんだけど」
「?告っちまえばいいじゃねーか」
「言ったら元の関係には戻れないだろ?俺は臆病なんだよ」
「でもいいのか?」
「お前は縁談を成功させろよ」
「…………………………」

「ディーノ、指舐めんのは俺だけにしとけよ、女に見られたらいくら好いてても引くぞ」
「うるせーよ」
「お前はもし叶わないと分かってても思いは伝えるか?」
「、俺も言うか迷っている…」
「そうか、」
翠は少し悲しそうな顔をしてディーノを見た、気持ちは伝わらない。それは悲しい事に


「なんか寂しいな」
「?」
「俺はディーノの事幼少から世話してただろう?だからなんか寂しいな…と思って」

「翠は俺が結婚したら…いなくなるのか?」
「まぁロマーリオがいるからディーノの子供の教育係くらいだろ?」
「そうなのか、」
「ディーノは言わなくていいのか?」
「言ったら…困るから」
「そうか、大変だな…お前も…でも俺はお前は好きな奴に告白すべきだと思うがな、例え断られたとしても、婚約者に失礼じゃないだろ?」
「…………もし翠が同じ立場なら、言うのか?」
「さぁ、どうだろうな…でも俺は引きずるよりはマシだと思うけどな」
ディーノを見てゆっくり笑うとディーノは顔を赤らめ目をそらした


「俺はアドバイスは出来る、良い方法なんて分かってるさ…だけど人間には感情があって感情が正確を邪魔する、今俺も正確を否定したいと思ってる」

「翠は…正解を選ぶのか?」
「俺はズルいから相手に任せる。もし正解を選ぶのなら俺は感情を殺す、だって相手が選んだのは俺じゃない…、臆病者はいけねーよ…ディーノ。後悔を必ずする」

「俺は婚約しねぇ」
「?なんで、」
「……好きな奴がいるから」
「そうか、」
「うん」
「ん?早く行った方がいいんじゃないのか?気持ちが固まっているうちにしねーと迷うぞ」


「ディーノ?」



「俺と結婚してくれ」

「………………………」
「…………………………」


「いいんじゃないのか?それは好きな奴に言ってやれ」
翠は悲しそうに笑いディーノから離れようとしたがディーノはそれを止めた

「?なんだ…どうした?」
「お…俺は翠が好きだ、ずっと翠が好きだ!っだ、から…嫁になって欲しっンぅ」




遮られた言葉




「なっ!翠」
「俺も…ディーノが好きだ」
「え…う、そ」
「好きだ…ゴメン、ディーノは婚約者と結婚した方がいいのに…俺は…多分、お前を諦められなかった。もう…愛して欲しい」

「……………なんか現実じゃねーみたいだ」
「俺が本音を言わないからだろ?」
「え?」
「俺はずっと前から…それこそ初めてあった時からお前の事が好きだ」
「は…つこい?」
「そうだ、絶対に言える時はないと思っていたが…ディーノは…俺の事、す「愛してる」っ!」

「俺ばっかかと思った、」
「…………?」
「俺ばっか翠が好きだと思ってた…」



「そんな…訳ない、だろう?」
大人とばかり思っていた、翠は顔を赤く染めた。瞬間、堪らなくて口を塞いでしまった


「(好きだ、だから本音を言ってくれよ)」
「(感情を殺せない、なんてヒットマンとして失格だな…俺)」






あきゅろす。
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