[携帯モード] [URL送信]
沖田×男主



さみぃ。12月だから当たり前か、だけどさ、体よりも心がさみぃ。グッとマフラーを上げチャリを漕ぐ相手の背中に自分の背中を預けた

「重いでさァ」
「はぁい、頑張って漕いでくださーい」
「……………なんで泣いてんですかィ?」
「おいおい、そこ聞いちゃう?聞いちゃうの?」

翠はブランコに座りながら号泣していた。それを俺は拾ってなんかわかんねーがチャリの後ろに乗っていた、まぁコイツの事は昔から知ってる。幼なじみみたいなものだ


「泣きすぎて面ヤバいですぜ?」
「うっせぇ総悟、死ね」
「まさか振られたんですかィ?」
「あーそうだよ、わりぃか」
「振られるなんてかっこ悪ぃな」
「オモテになる総悟とはちげーんだよ俺は、つーか普通傷えぐらねーだろ、誰かコイツ殺してくれー」
ガコガコ動けば自転車が揺れ動く。総悟は必死になって自転車の安定感を守る。ぐずっと鼻を啜れば総悟が口を開いた



「誰に告ったんですかィ?」
「んとに容赦ねーなぁ、」
「翠をイジメるのが俺の仕事なんでィ」
「あードS王子降臨、みんな逃げて〜」

「翠?」
「銀時に告った。先生と付き合ってんだってさ、銀時ちょー愛しそうな顔すっし…あぁ俺絶対適わないわって思った」
「旦那がねィ、俺が慰めてあげやしょうか?」

ガコガコと揺れ動く自転車に翠は黙り込んだ。表情が見えない不安から総悟が「冗談でさァ」と言おうとすればそれを遮られた


「慰めてくれよ」
「……………………」
「翠さんちょー傷ついてんの、涙止まらねーよ。総悟、慰めてよ」
これほど表情が見えない事を恐れた事があっただろうか、総悟は沈黙の後、ゆっくり口を開いた

「断りまさァ、こんなイジメがい無い翠なんて…」



「俺が好きな翠じゃありやせん」

スパンと言い放つ総悟に翠はまた泣いた。ぐずぐずっと鼻を啜る翠に総悟は口を閉ざした


「(俺だって何回振られてると思ってんだ、ふざけんじゃねーよ)」



「総悟まだ俺の事好きだったの?」
「わりぃかよ」
「だって中1だよ告って来たの、今いくつだと思ってんの?高2だからな」

「うるせぇ、地獄に落ちろ」
「お前が落ちろ」
「………………………」
「総悟?」
「好きだ、」
「…………………」
「……………………………」
「……………………………」
「なんとか言えよ」
「総悟、ゴメン」
「……わかってまさァ、翠があの野郎が好きな事も俺を好きじゃない事も…全部わかってまさァ」


「ちげーよ」
「何が違うんでさァ?」
「銀時に言われたんだ」
翠は総悟の背中に体重をかけて言葉を続けた

「俺を好きって言うけど…お前沖田くんといる時の方が乙女みたいな顔してるって、沖田くんが女と居たら辛そうな顔するし、沖田くん次第ですぐ笑顔になんじゃん…本当に好きなのは誰か分かってねぇんじゃねぇのってな」

「……………………」
「総悟そんな俺、お前といて嬉しそうな顔してる訳?何とか言えよ」

「そんなの知りやせん」
「総悟、俺…お前の事…好きなのかな?」
頭も預ける翠に総悟は黙り込んだ。沈黙が続く、翠は空を眺めていた。



「少なくとも俺は翠が好きでさァ、チャリのケツは翠専用でさァ」
「言ってて恥ずかしくない?」
「翠死ね」
「死んだら困んのお前だろーが」
キュキュッと自転車が止まった。翠は足を地面につけ、訝し気に総悟を見ていた




「アホな翠は俺しか面倒見切れねぇ」
「バカ言えこっちのセリフだ」
「翠、俺と付き合って下せェ」
顔を赤くする総悟なんて初めて過ぎてドッキリでも仕掛けられてるのではないかと疑ってしまったが、俺の答えは決まってる。ゆっくり口元が緩むのが分かった






「嫌だ…なんて言うと思ってんのか?バカが」





さようなら、こんにちは
(とりあえずキスしていいですかィ?)






第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!