骸×男主
好きであるならばそう言えばいいものを、本当に面倒な人だ
「いい加減にしなさい」
「?なにが」
そして本人が無自覚なのが末恐ろしい。なにがいい加減にしなさいのかと言えば簡単だ、服の裾を離さない
トイレまでついてこようとするそれに骸は溜め息を付いた
「離してもらえませんか」
「え、あっゴメン気づかなかった」
「……………」
そう言って手を離すもバッとクッションを抱きしめた
「?なに?」
「いえ、別に」
そもそも身長はさほど変わらないが小動物みたいなベビーフェイスにその仕草は犯罪級に可愛い。骸はわなわなと動く右手を自分の左手で抑えた
「骸はさぁ、俺の事好き?」
「?えぇ」
「じゃぁいいや」
ボフンとクッションに顔を沈めチラリとこちらの表情を伺っている。理性と言う棒をチェンソーで削らているみたいだ、心なしかブゥウウウンと言う音が聞こえる
(なんだこの可愛らしい生き物は!)
ぐりぐりの大きな目は骸を見ていて骸が向けばさっと目をそらした。そう彼は質の悪い男なのだ
「翠」
「ん、なに?」
「また僕の服の裾を掴んでますよ」
「……別に掴みたくて掴んでる訳じゃないんだからな!ただそれがそこにあるからったまたまだ!」
「(きゅん)」
わなわなとまた右手が動くのを必死に止める。最早ギリギリの線を歩いている
「翠」
「なに?」
「間違っていたらすいません」
「?うん」
「もしかして誘ってますか」
「は?」
「……………」
「んなわけねーしっ!」
真っ赤になった翠は骸からすれば誘っているようにしか見えない。もとから細い理性はチェンソーによって5分ももたず折られた
「我慢出来ません」
「なにが?」
彼の疑問を無視して口を塞いだ、漏れる息や母音に骸の手は翠のシャツの下を弄(まさぐ)っていた
「むむむむむ骸っ!」
「……なんですか?」
まさに猫が威嚇しているような容姿骸はホゥと惚けていた。もうベタ惚れなのだ
「変態!なにすんだよ!」
「あなたが僕の理性を奪ったんでしょ」
「いつ!?」
骸はやきもきしたこの感情をどこにぶつけていいか分からなかった。いやもう骸は翠を押し倒して仕方なかった、目が血走っている。その様子に翠はじとーっと骸を見て呼んだ
「骸、」
来い来いと手招きする翠に深く息を吸って近寄った。それは何故かと言えば今にも崩れそうな理性を立て直すのに必死だったからだ
だが、それは後10秒もしないうちに崩れ落とされる事になる
彼
の
名
前
はクラッシャー
(ミドルネームかなんかですか?)
「やっぱ骸の横にいるのがいい」
「それは告白…ですか」
「ばっ!ちげーよ!」
「クフフ顔、真っ赤ですよ」
「うっうそ!」
「すいませんやっぱり我慢できません」
「ひっいやややや」
クフフと言う笑い声は無駄に響いた
20090312
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