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小説
ある日の休み時間



「か〜ず〜きぃ〜」



机から乗り出し肩をつつきながら大好きな人の名前を呼ぶ




「ん〜、何ぃ?」




読んでいる本から目を離さずに返事をされた。
いつものことだけどちょっぴり寂しい。



どうにか振り向いてほしくてちょっかいをかけてみる。



「和希、お菓子あげよっか」



「ん〜、今はいらない。」




あえなく撃沈。
和希がお菓子にも反応しない時は本に集中している証拠。



和希は本を読むのが大好きで暇さえあれば読んでいる。


読むジャンルにはこだわりはないようだが今は十津川さんシリーズにはまっているみたい。




あれおもしろいよなぁ。なんたって十津川さんの性格が素晴らしい。
俺の中の上司にしたい人ランキングではけっこう上位だ。




なんてどうでもいいことを考えながら和希の柔らかい綺麗な髪の毛をクルクルして遊ぶ。



(ぜんぜん絡まない。)




指からすべり落ちていく感触が楽しくてクルクルクルクルを繰り返す。



(でも十津川さんシリーズはテレビで見るのがおもしろいんだよなぁ)



とまた思考を十津川さんに飛ばそうとしていると和希が振り返って俺を見る。




「翔平の手って気持ちいいな。」




少し首を傾けて微笑む和希を見て心臓が一瞬だけ動きを止める。



そしてドクドクといつもより早く心臓が動き出す。




本を読むのを止めて椅子ごとこちらを向く和希。


そして俺の手をとり自分の頭へと持っていく。




「ちょっと眠いから頭撫でてて。翔平の手があると落ち着いて寝れる気がする。」




そう言って和希は頭を横にして机に伏せ目を閉じる。



どこまでもマイペースな和希。




結局俺の相手はしてくれないみたいだ。



でも寂しさはない。反対に心がポカポカしてくる。



頭を撫でながら幼さがまだ残る寝顔を見つめて心の中で思う。




(とりあえず俺の手>本>お菓子)



誰にも見られないように小さくしたガッツポーズ。



そんな穏やかな時間が流れるある日の休み時間。





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心が和むようなのほほんとした作品が書きたくてできた小説です。


山なし谷なしでゆる〜く続けたいと思います。

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あきゅろす。
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