私の愛にこたえて… ,3 渋そうな黄緑色の液体。 一本の幸運を報せる物が浮いてた。 夕食後の茶を啜り、縁起が良いなと喜んでいると後ろから声がした。 「とうとう恋人作ったんだって?」 「山森、……成雲ですか?」 「いや、空さんから聞いた。なかなか格好良くて誠実な良い奴だって、お前がもう少し優しくしてくれたらなぁ…つってたぞ」 山森はいかにも面白い話しを聞いたという表情で言った。 山森は瀬田の屋敷における料理長。 太ったメタボリック体型の脳天気そうなオッサンだが、シェフとしての腕は一流だ。 「てか、どういう経緯で付き合う事にしたのか知らねーけど、恋人なんか作って大丈夫なのか?少しでも無理があるなら早いとこ別れとけよ?」 「別に…、無理なんてどこにも生じていません。第一本気でもありませんし、成雲と少し遊んでいるだけですよ」 「んー?よく分かんねーけど…そうか」 山森は明らかに納得出来ていない顔で頷いた。 「大丈夫ですよ、幸運の女神は私に微笑みかけています」 「あ、茶柱…」 私は山森に湯飲みを突き付け、不敵に微笑んで見せた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |