君と一緒だから。 ,9 「ぃや…ッ!!」 パシンッと乾いた破裂音がナレーションの音に被さって響いた。 俺の右手は見事なまでに生徒会長さんの頬っぺたをひっぱたいて、手の平がジンジンと痛みを訴える。 頭の中は、裏切られたショックと人に手を挙げた衝撃が入り混じってぐちゃぐちゃ。 「…っ……………ぁ…、ごめ……なさぃ…」 我に返って、振り上げたままの右手を慌てて下ろし、俯きながら弱々しく謝る。 「うん……えーっと…」 しょんぼりと頭をうなだれる俺に対し、パーで叩かれた生徒会長さんはなにやら気まずげに言葉を発する。 「僕の方こそビックリさせてごめんね。でも一応弁解させてもらうと、僕の目を覗かせてあげようと思っただけだったんだよ」 「えっ…!?」 「ほら、見てごらん?僕の目は茶色だけど、星が映ってるのは見えるよね」 「………ホントだ…」 生徒会長さんの瞳には天井と同じ、光の粒が瞬いてる。とっても綺麗で、生徒会長さんの気遣いは嬉しい。 でも、俺は… 「痛かったですよね、ごめんなさい」 右手に残る生徒会長さんの頬っぺの感触に、胸がじくじくと痛む。 いくら勘違いで、生徒会長さんもまぎらわしい動作をしたからって言っても、暴力を奮ったことは凄く悪いことだから。 生徒会長さんの瞳は確かに綺麗に輝いているけど、罪悪感に苛まれた俺は、その優しい瞳を長く見詰められなかった。 「そんなに落ち込まないで?僕も悪かったんだから、ね?」 「はい…」 一瞬でも裏切られたって考えた自分が憎い。裏切ったのは俺で、きっと生徒会長さんを傷付けたに違いない。 慰めてもらっても気持ちは癒されなくて、せっかくの星空を見上げる勇気もない俺はひたすら俯く。 歪んだ視界に、涙が滲んでるのが分かった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |