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君と一緒だから。
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けれど、今日も補習で登校してみれば、男子校には息子さんをぶら下げた男共がわんさかといる。
 
あの疑問を思い出すなという方が無茶な話だ。
 
 
 
「なぁ紅、お前のアレはどんな臭いだ?」
 
「……………アレ……って、なに」
 
 
唐突にされた主語が代名詞になってしまった質問に、紅が訝しげに俺を睨み上げる。
 
 
空は「今日はトイレが近いなぁ」なんて年寄り臭いことを呟きながら、先程トイレへ向かったばかり。
 
下ネタを相談するには絶好の機会だと、声の大きい勝が紅の傍にいないタイミングを見計らい紅に尋ねた。
 
 
 
「だから……アレだ。…アレした時に出る白いやつ」
 
「……………」
 
 
紅の席の隣に立ったまま少し身を屈めて説明すると、ますます紅の顔が険しくなっていく。
 
すると聞こえていないと思っていた紅の前の席の黒崎が、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべて振り向いた。
 
 
 
「ザーメンってことだろ?」
 
「……ああ、」
 
 
はっきりと俗な呼び名で答えた黒崎に、嫌だったが素直に頷く。
 
 
 
「紅のはしょっちゅう搾り取られてるから、色も臭いも薄いぞ」
 
「…………………………、は?」
 
「死ね、黒崎」
 
 
なんでそんな事知ってるんだとか、誰が搾り取ってるんだとか、臭い薄いのか…とか。
 
取りあえず俺の頭の中は訳の分からない疑問が飛び交い、ちょっぴりショート気味だ。
 
 
黒崎を罵る紅の態度から、なんとなく二人の間になにかあったんだと感じた俺は、
 
 
 
「俺に出来ることがあれば相談しろ」
 
 
と、珍しく紅に優しく声をかけて、さっさとその場を立ち去ろうと踵を返す。
 
 
その言葉は、紅に気遣うと言うよりも、これ以上関わって巻き込まれるのは御免だ…と、紅が俺に相談するはずがない事を見越した上でのものだった。
 
…のだが、
 
 
 
「なぁ瀬田、今度二人きりで話さねぇ?」
 
 
一歩目を踏み出す前に腕を掴まれ、黒崎に引き止められる。しかも、なにやら裏がありそうなお誘い付き。
 
 
 
「なんの話だ」
 
「ここじゃ言えねーな」
 
「なら無理だ。予定が詰まっていて、お前に時間をさく余裕はない」
 
「予定って、高井のお守り?」
 
「なんでも良いだろ、放せ」
 
「んじゃ、予定が空き次第よろしく」
 
 
どう考えても俺の頭には“黒崎の誘い=危険”と浮かび上がり、とてもじゃないが承諾なんて出来なかった。
 
 
必死で逃れようと抵抗するが、黒崎もまたしつこく食い下がる様子に、ますます警戒心が煽られる。
 
隣では紅が「黒崎、やめなって」と珍しく俺を庇うもんだから、余計に怪しい。
 
 
 
なんとか逃れはしたものの、しばらくは黒崎に近づかないでおこうと心に誓った。
 
 
 
 
 

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あきゅろす。
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